ゾディアック

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この暗号を解いてはいけない
連続殺人犯「ゾディアック」を執拗に追う男たちの姿を描く。

原題:ZODIAC
監督:デビッド・フィンチャー
脚本/製作:ジェイムズ・バンダービルト
原作:ロバート・グレイスミス
音楽:デビッド・シャイア
Based on a True Story.


『ゾディアック』鑑賞前日に非常にオチるできごとがあり、『ゾディアック』に関しては「未解決」「人生破滅」などというキーワードを得ていたため、「今この映画を観てはたしてわたしはへいきかしら?」という多大な不安をもって鑑賞しました。

しかし、やーおもしろかった。長尺を忘れるほど引き込まれました。チャレンジングかつふしぎな鑑後感のある作品。デビッド・フィンチャーは完璧主義者みたいですが、それがヒシヒシと伝わってくる、全編隙のない映画でした。

思えば『セブン』を観た時もこわくてこわくて、結局友だちに泊まってもらったほどでしたが、『ゾディアック』もひさびさこわかったです。『セブン』の時はひたすら事件の絵が脳裏にやきついてこわかったのですが、『ゾディアック』は犯人を追う側の焦燥感とか取り憑かれ感がこわかったです。もう本人の意思すら超えているかのような「取り込まれ感」がとっても不気味。

正解という確信は得られないながらもニアな推論に依ってしまうところなんか身につまされるところがありました。なにより犯人について中盤自分で「このひとは容疑者からはずさなきゃ!」と思っていたのに、ラスト、「じゃーこのひとが犯人ってことでひとつ・・・」と自然に思わされていたことで、ああーはまったなーと思いました。
最後のクレジットにも「彼が死んでからイタズラ電話が止んだ(だから彼が犯人だ)」というコメントが出たりもするんだけど、もうその発言者自体が事件にどっぷり浸かりすぎているので、観ている方は使える情報の基準がグラグラになってしまう。

キャスティングが絶妙でうなりました。ダウニー・Jr!!ジェイク・ギレンホールじゃなかったらこんなふしぎなきもちにはならなかった気がします。なんというか無邪気で世間ズレしてない感じがへんな熱を感じさせて、他のひとを充てていたらこの作品はもっとダークでシリアスになり得たかも・・・と思いました。でもそれだとけっこー普通。ダウニー・Jrに「来てごめん」と謝る乙女っぽさとか電話にはられたメモを見て「くそっ」てなるところとか、そこはかとなく的をはずした感じがすごく印象に残りました。


★★★★