ショートバス

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みんな誰かとつながってる あなたは1人じゃない
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェル監督作。愛とセックスをテーマに描いた群像劇。登場人物はオーガズム未経験のセックスセラピスト、彼女の元へ相談に訪れる見栄えのいいゲイのカップル、そのストーカー、孤独を抱えるSM女王様などなど。@愛とセックスに惑う人々が集うサロン「ショートバス」。

原題:SHORTBUS
監督・製作・脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル
音楽:ヨ・ラ・テンゴ


9.11に対するアンサーとしての「愛と希望」、「人はひとりじゃない」というメッセージが描きたかったのはなんとなく伝わってくるのですが、逆により伝わってきたのは強烈な個々のエゴの方だったような気がします。自分の一時的な快楽のためには、大切な友だちの悩みが塵同然に扱われたり、「きみはぜいたくだよ」「・・・知ってるよ」でもどうしようもないんだ、という絶望的な会話があったり。

ハッピー&サブカル糖衣にくるまれているものの、端々でけっこうこわい映画だなあ、と感じました。
ラスト、祭り〆で「やっちゃえやっちゃえー」みたいなノリで、なしくずし的に終わって行くのですが、祭り〆に流されやすい私でも、「これって本当にハッピーか・・・?」という疑いをぬぐえない映画でした。別にこれはこれでいーんだけど、1対1でひとと向き合うことがすごく軽く感じられるというか。アウトサイダーを描く設定とセックスというモチーフはおもしろいので、もっと響く映画になり得た気がして、残念でした。

でもセックスセラピストが徹底的にオーガズムを追求していくさまとかハンサムゲイに対するストーカーの熱視線(柱の影からきっちり半分見えてる)とかは相当笑いました。特にセックスセラピストはマジメな役柄なので、「ショートバス」住人から教わった訓練法を忠実に実行したり、キレて「私から出てけ」とバイブをブチ壊したり、やらしい妄想で仕事が手につかなくなったり、と思いつめっぷりに笑いました。本人は切実なだけに。


★★★