第9地区

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人類、立入禁止。
南ア上空に突如UFO出現。政府はエビ星人のために難民キャンプ「第9地区」を設置。ほどなくスラム化した第9地区に手を焼いた人間サイドは、公務員ヴィカスの指揮のもと、エビを強制収容所「第10地区」に移動させようとする。

監督・脚本:ニール・ブロムカンプ
製作:ピーター・ジャクソン / キャロリン・カニンガム
脚本:テリー・タッチェル
撮影:トレント・オパロック
音楽:クリントン・ショーター


圧倒されました。すげーや。あまりの巧さに舌を巻きました。どんな国のどんな人種のひとが観ても、なにかしら考えさせられると思う。ゆかいなぼんくら映画だと思ってたのに、まじめか!

とにかくハイパーよくできてる!すべてがなにかのメタファーのように感じられ、観客に「気づき」を促すのに、ストーリーはこびがおもしろいから、説教くさくない。「他者との関わり」というテーマ/そこから派生するリアルと向きあうのはちょう重たいけど、SFという衣と荒唐無稽な設定、絶妙なユーモアで、耐えられる。観客をエビ側の視点にシフトさせていく手つきがていねいで、観客もその誘導をたのしめる。(わたしは最初からかなりエビ寄りだったんだけど。。。)クリティカルな言葉なく、観れば戦争・暴力・集団と個人・差別・品性、とそのなりたちについて、監督の意思が伝わる。

ナイジェリア人の存在もスパイスになっててよかったなー。犯罪を介して、エビとの共生にスムースに順応するナイジェリア人。強大な力が出現したとき、政府との共闘にスムースに移行するナイジェリア人。クール。エビの家畜(?)闘わせてエビともりあがってる描写とか異種売春(!)の発想とか、まじ真理だなって思いました。なにをかくそうアフリカゼミ出身☆

関係ないけど、わたしのとなりがいいかんじにはげちらかった、でも上品なサラリーマン風のおじさんだったのですが、わたしと反応が似すぎてておもしろかった。わたしのように笑いはしないものの、イタ描写ではハッと息をのんで口を押さえ、終盤はすんすんと鼻をならし、上映がおわって大きなためいきをひとつ。なんかうれしかったです。


★★★★