転んだ分だけ、強くなる。
"信頼できる女"ドリュー・バリモア初監督作品。エレン・ペイジ主演。
いなかの女子高生ブリスは、美人コンテスト命のママの呪縛で自分らしくふるまえない。そんな彼女がある日、ローラーゲーム(&ボーイ)にミーツ!
原題:WHIP IT
監督・製作:ドリュー・バリモア
原作・脚本:ショーナ・クロス
観たい映画がたまりまくっている今日このごろ。むりやり1本観にいくとしたら・・・と決。青春愛好家としては行かずんば!結果、これに決めてよかった。目がキラッキラしちゃいました。
マドンナ初監督作『ワンダーラスト』と同じく、荒けずりな部分と妙に光るディテールが混在していて、へんにひきつけられる。両作品ともあまりにパーソナルな部分が注入されているからかしらん。くすぶってるひとたちの背中を押す力にみちあふれた作品でした。
ブリスがあのスピーチ原稿に至る心情とか、チームが強くなっていく過程とかもうちょっとていねいに描きこんでもいいんじゃないかなあと思う反面、逆にこの語り口のあっさりさも強いなあと。
例えば、チームメイトのバックボーンはほとんど描かれていないんだけど、ドリュー本人をはじめ、ゾーイ・ベルの笑顔の強さとか、ジュリエット・ルイスの肝のすわりかたとかがもう説明をはねつけてる。
素材の力を信頼してないとできない芸当です。
ブリスの青春の甘酢感にもキュンキュンきたけど、
なにせこちとら年齢的にも完全おねえさまがた寄りなので、あのしぶとさはたのもしかったなー。オッケオッケの軽さ、パイ投げに興じるアホさ、深夜にレースネームでぎゃあぎゃあ電話してくるオープンさ。たぶんいろいろあるんだろうけど、あかるくひらきなおるかんじがなんとなくオカマのひとたちのつよさを連想させました。
あとは女子ならおかあさんとの関係になにかしらクルんではないかと。やっぱりみため問題にまつわるおかあさんの呪縛ってあると思うんだよねー。とくに長子は。「赤がいちばんにあう」だの「ショートカットはにあわない」だの「女の子らしいかっこのほうがかわいい」だの。意外とみんなそういうの覚えてるし、いまだにそれを破るのをためらったりもする。おかあさんはおかあさんで娘にかわいくいてほしいし、自分が娘のかわいさをいちばんわかってる自信があるから、ついつい持論が強固になる。でも娘はかわっていくし、意志も持つし、おかあさんの目が必ずしも真実ってわけじゃない。よしながふみさんも言ってる「母というものは要するに一人の不完全な女のことなんだ」
ってなったときに、おかあさんもかわっていくもの。「受け入れてくれる?」「難しいけどね」ーってやりとりがぐっとくる!
うちのおかあさんはかなり柔軟なたちだけど、たぶん昔からあのレベルだったわけじゃなかった。子ども3人も産めば、おさえどころがわかるようになるし、たいていのことには順応できちゃうスキルがつく。おかあさんの成長はめざましい。じゃないと長年の子育て稼業はやってられないのだ。タフ。で、ちょうクール。
しかしこの作品は、「ドリュー・バリモアの初監督作」っていう文脈だけでぐっとこざるをえないよなあ。次回作もたのしみです!姐さん、自分ついていくっす!!
★★★★★