ソウル・キッチン

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心(ソウル)も満たすレストラン
ハンブルクでレストラン「ソウル・キッチン」を経営するジノス。さまざまな苦難を持ち前の明るさで乗り越えようと奮闘するコメディ。
「愛・死・悪」3部作の箸休め的に撮られた作品とのこと。
2009年ヴェネツィア国際映画祭 銀獅子審査員特別賞

原題:SOUL KITCHEN
監督・脚本・プロデューサー:ファティ・アキン(『愛より強く』『そして、私たちは愛に帰る』)
脚本:アダム・ボウスドウコス
撮影:ライナー・クラウスマン
編集:アンドリュー・バード


これよかったなー。すごいすき!なんてことない話なんだけど、とてもまっとうで好感度高い映画。ふんだんに小ネタが投入され、コメディとしてしっかり笑えるところがすばらしい。ナイスでファンキーな音楽が大量投下され、これはあれだー小箱で当たりのパーティーに行ったときに感じる多幸感だ!と思う。

かたむいたレストランをたてなおすで〜というお話かと思いきや、そこをゴールにした熱血スポ根(それもすきだけど)とは一味も二味もちがう、ちょう良い湯加減。くせものぞろいのぼんくらたちが飄々とおりなすどたばた、そこからなんとなくみんながしあわせに向かっていくゆるやかな流れ。登場人物全員が一勝一敗なかんじがにくめないし、あのだめさ、とても他人とは思えないのです。

ファティ・アキンはスーパージャンゴという名前でDJをやっているというのもさもありなん。この映画の編集のしかたはDJのつなぎを思わせるようで、なおかつ酒・パーティーの描写が秀逸。ショットの応酬からの泥酔シーンはすてきすぎるし、だめなおっさんがすきな女の子のためにタンテ盗んでDJはじめるっていうエピソードにいたっては、爆笑しながらときめきが止まりません。

主演・共同脚本のアダム・ボウスドウコスが経営していたレストランがモデルになっているということで、この映画自体の居心地のよさにも合点がいく。ラストのシンプルでストレートなしあわせの描写ひとつとっても、信頼できる監督だと思いました。


★★★★★