ヒア アフター

f:id:tally:20181227142009j:plain


死に触れて、前を向く。
元霊能者ジョージ@サンフランシスコ、臨死体験をしたアンカーウーマン・マリー@パリ、双子の兄を亡くした少年マーカス@ロンドンがつながりあう。

原題:HEREAFTER
監督・製作・音楽:クリント・イーストウッド
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ピーター・モーガン(『クイーン』『フロスト×ニクソン』)
撮影:トム・スターン
編集:ジョエル・コックス / ゲイリー・D・ローチ


噂にたがわぬ怪作。第一印象はとにかく「すげーへんな映画だなー」。
もともとイーストウッドさんという監督は得体が知れなくてあまり得意ではないのですが、今作ではちょっと好きになれそうな気がした。イーストウッド監督作を観ると、作品の出来の良さに隠された監督自身の底の知れないゆがみの気配をほんのちらっとだけ見てしまう気がして胸がすうすうするのです。(あくまで印象です。)今作ではそのいびつさを隠さないというか変態ロマン派街道をひた走るむきがあって良かった。ラストには季節とあいまって春の訪れすら感じました。あの御大、リアルに幻視できるんじゃないか?

あと視覚にたよらない残りの五感の描写がおもしろかった。霊能者の第六感はもちろんのこと、料理教室での目かくしプレイで試される味覚、霊との対話に手をにぎることが必要だったり、聞き取り能力が重要だったりすること。ラスト近くのマット・デイモンの口伝にはびしょびしょに泣いてしまいました。

ひとによって受け取ること、印象などまったくちがうと思うので、いろいろな感想を聞いてみたいな、と思いました。
「死後の世界」はあくまで要素であってテーマではないんだけど、ここでもう拒否反応示すひともいると思うし。『シングルマン』ですら「ゲイ」という要素にどうしても引いてしまったという友だちがいてびっくりしたので。


★★★★