不況と空洞化が叫ばれて久しい地方都市。“中心”街。シャッター通り、ゴーストタウン。山梨県甲府ー土方、移民、HIPHOP 『この街で一体何が起きている?!』
監督・脚本・編集:富田克也
脚本:相澤虎之助
撮影・編集:高野貴子
まずは「ここ」の描写。住んでいる場所も暮らしぶりも全くちがうのに、強烈な既視感とともに、自分の骨の髄まで日本人って部分をこじあけられるかんじ。すごく親しみがあって嫌いになれないのに、だからこそどうしてもキツくて我慢ならない、愛憎こもごもな部分。男女の描きかたもそうで、かわいくてしょうがないけど、同時にどうしてもわかりあえない異性の無神経さが、これでもかと詰まっている。
そして「ここではないどこか」を夢みて必死でもがくこと、その「ここではないどこか」には決してたどりつけない、という泣きたいくらいの現実、さらには「ここ」すらも幻想かもしれないと、足場がふらふらゆれる、こころもとなさ。この流れで感じるのがまさしく『サウダーヂ』っていう感覚なのかなあ、と。
だから言葉にしようとするとどんどん上滑りしていってしまう。結局フィールするしかない映画なのかなあ、と思いました。そんなふうにぐらぐらにされて、わたしは鑑賞後、何度もひとの足をふんではあやまる、のくりかえしでした。
なにしろこの題材はヒップホップと切り離せなさすぎる。ここのところ『文化系のためのヒップホップ入門』読んだり、田中面舞踏会行ったり、ってことで、余計に思うところがありました。ERAやNORIKIYOががんがんかかる映画が観られるのも、そう遠い未来の話じゃないかもしれない。
移民問題を描き出す、みたいな紹介はちょっとちがうかな?というところと、田我流の顛末はちょっと急かな?というところが、やや気になりました。
★★★★★