犯罪がつなぐ、家族のきずな。
実在の犯罪一家をモデルに、母親の死により凶悪犯罪で生計を立てる親族に引き取られた少年の成長を描く。
原題:ANIMAL KINGDOM
監督・脚本:デヴィッド・ミショッド (『メタルヘッド』脚本/長編初監督)
撮影:アダム・アーカポー
編集:ルーク・ドゥーラン
音楽:アントニー・パートス
演出はスマートでドライなのに、息がつまるような異様な緊張感にしびれる、見応えのある映画でした。おもしろかった。
「血」と「暴力」の結びつきや家族のキャラ立ちという点では、舞城王太郎の「煙か土か食い物」の奈津川一家を思い出したり、
- 作者:舞城 王太郎
- 発売日: 2004/12/14
- メディア: 文庫
足抜けできない泥沼犯罪描写は、『ザ・タウン』なんかを思い出したりしました。
一家の裏番を演じて、第83回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた、ジャッキー・ウィーヴァーのモンスターおばあちゃんぶりが、とにかく「男兄弟の女親」のヤダ味をぞんぶんに発揮していてすばらしい。そしてそこで終わらず、タイトル通りに容赦なく弱肉強食なラストが訪れるのもちょうタイト。
ある事件をきっかけに、急速におとなになること/誰も信じないで独りで生き抜いていくことを余儀なくされる主人公を、ふびんに思って胸を痛めるのも束の間、ラストには圧巻の王座交代が待っている。
誕生した王者は新たな庇護者としては頼もしいものの、今までとちがって「母」の呪縛が通用しない。「は〜、寝た子を起こしてしまったね しかし王者もいつ寝首をかかれるかわからないね」とふるえる思いでした。この男女の主従関係がそのままスライド&スイッチするあたりの関係性は、『冷たい熱帯魚』を連想したりも。
★★★