この空の花 ―長岡花火物語

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世界中の爆弾が花火に変わったら、きっとこの世から戦争はなくなる。
昔の恋人からの手紙をきっかけに長岡を訪れた、地方紙記者・遠藤玲子の足取りを軸に、時間や生死の枠を飛び越えた、時空が歪むセンチメンタル・ジャーニーを描く。

監督・脚本・編集・撮影台本:大林宣彦
脚本:長谷川孝治
撮影:加藤雄大 / 三本木久城
編集:三本木久城
音楽:山下康介
主題曲:久石譲
主題歌:伊勢正三『それは遠い夏』


噂は聞いていましたが、とにかく圧倒的。なんという熱量と情報量。圧縮された大林魂をずしんとくらって、時間が経てば経つほど、その塊が自分の中で溶けだしてくるような、そんな映画でした。『Pina / ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち 3D』の時に感じた、「映画というよりアトラクション」、「観る」というより「体験する」といった手触りの作品だと思う。

反戦・反原発映画でありつつも、そこには納まらず、誰でも何かしら汲みとれるような、懐の深い映画で、スタイルは奇抜にせよ、意外と万人の心を動かす力をもった映画じゃないか、と思う。
連綿と続く時間や歴史のなかで、自分ひとりがその流れに無関係という風には居られないということ、自分ひとりではどうにもできないような壁や押し流されてしまいそうな悲しみ、屈してしまいそうな圧倒的な力を前に、それでも人間のしなやかさを信じて、前を向く姿勢を激励し、みんなが向けた目線の先に打ち上がる花火に祈りをかける―、その大林監督のエールが力強すぎて、わたしはぼろぼろ泣いちまいました。

その日の実況@Twitter

『この空の花』@アップリンク、2時間ちょいの地点で映像が止まり、その後も戻しすぎたり進めすぎたりまた止まったりでかれこれ20分…。今までビルドアップしてきたものが……。

『この空の花』@アップリンク、何度も同じシーンで止まってしまい、観客も「もうダメか…。ちょっと先のシーンからでいいから続き観たいな…」的なムードになってきたところで、ついに再生に成功!爆笑と拍手。こんなことあるんだなー。凄まじい作品だったので、もらった招待券でリベンジしたいな。


てな具合で、変わった映画体験のオマケつきで、なんとも忘れがたい作品になりました。あと1回は絶対観たいな。

追記:
後日、無事に2回目を観ることができました。やっぱり通しで観ると、ラストの花火のカタルシスと感動が段違い。観なおせて、ほんとうによかったー。


★★★★