終の信託

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医療か?殺人か?
呼吸器内科医 折井綾乃(草刈民代)は、傷心をきっかけに、重度のぜんそく患者 江木秦三(役所広司)と心を通わせるようになる。死期を悟った江木は、時が来たら安楽死させてくれるよう綾乃に頼むが・・・というお話。

監督・脚本:周防正行
撮影:寺田緑郎
編集:菊池純一
美術:磯田典宏
音楽:周防義和
エンディング曲:種ともこ『遠く、そして近く』
挿入歌:キリ・テ・カナワ『私のお父さん』
原作:朔立木『終の信託


いやー、ストーリーをパッと見ただけでも、周防監督作でなければまず観ないであろう作品。144分という長尺を感じさせない手腕はあいかわらず見事なんですが、周防監督にはめずらしく、いびつでバランスの悪い作品になっているように感じました。なんか呑みこみづらい。

前半の純愛モノ+難病モノというベタさと、後半の検事との応酬という手に汗握る法律サスペンス展開が、効果的に融和していない気がするし。Twitterでは思わず「何映画だったのか考えさせられた」とつぶやいてしまいましたが、あえて言うなら「ハイブリッド韓国映画」がしっくりくるかんじ。

あとは、呑みこみづらさの最大の原因は、ひとえに草刈民代さん*1にある気がしました。


周防監督のインタビュー

Shall we ダンス?』の時は、彼女がバレリーナであることが重要だったから、お客様として迎えた。『ダンシング・チャップリン』は、バレリーナとして最後の映画出演作。今度は女優として生きていくと決めた映画の一本目なんです。


前2作は、作品&監督と草刈さんとのその距離感が、作品にうまく作用していたように思うけど、(とくに『ダンシング・チャップリン』は2人の関係性がなければ撮れないおもしろい作品だったし)、今作はそれが裏目に出たような。
この作品で最も伝わってくるのって、なにしろ周防監督の「嫁がすきすぎる」って想いと、嫁に対する夢・GAMBOで、それがけっこうなノイズになってる*2

草刈さんはたたずまいや存在感はすばらしいけど、「女優」一作目だからこそ、演技はきちっと指導・演出してあげたほうが良かったと思う。この役、『トウキョウソナタ』キョンキョンとかがやったらもっとぐっと押さえた演技で、深みと凄みのある役になったような気がする。

周防監督も草刈民代さんも、仕事に対して真摯でストイックな人だと思うし、今後に期待もしているので、次作はぜひ一旦別のパートナーと組んでみてほしいな、と思う。


★★★

*1:あと本筋とは全く関係ないけど、美人でも中年になると、服や化粧でぐっと老けたりするな、と思いました。気をつけないと……

*2:でも、劇場内ではすすり泣きも聞こえたりしたから、わたしの見方がうがってるのかもな……。