危険なメソッド

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許されぬ愛。測れない心。
偉大な心理学者ユングフロイトの軌跡を辿る、史実に基づいた物語。
若き精神科医ユングマイケル・ファスベンダー)とロシア人患者ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)との愛、またザビーナをめぐるユング精神分析の大家フロイトヴィゴ・モーテンセン)との親交や葛藤を描く。
『つぐない』の脚本家クリストファー・ハンプトンの戯曲を映画化。

原題:A DANGEROUS METHOD
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
撮影:ピーター・サシツキー
編集:ロナルド・サンダース
音楽:ハワード・ショア
原作戯曲・脚本:クリストファー・ハンプトン『The Talking Cure』
Based on a True Story.


勝手に三角関係の話だと思ってたけど、これユングの物語なのなー。そして「邦題ださい…」と思ってたけど、原題ママなのなー。もっとトンデモ映画かと思いきや、意外とマトモなのなー。

99分とは思えないほど体感時間が長く、単調でかったるいなと思う面はありつつも、おもしろかったです。この3人の顔力がなかったら、もたなかっただろうけど。(美人がしゃくれるの迫力出すぎてコワイ…。)

一気に惹きこまれたのは、終盤ユングがザビーナに「行かないでくれ」と泣きつくシーンからのラストのユングとザビーナの対話です。もーこの作品でのユングってやつぁどうしようもないボンボンで、家族にも財にも恵まれたハンサム野郎のくせに、唆されて自分の患者に手を出すわ、嫁にヨット買ってもらって優雅にクルージングだわ、師匠置きざりでひとりファーストクラスだわ、ナイーブすぎて病むわ(しかもちゃっかり長生き)で、「このぼんくらはもうだめだ…」と匙を投げたくなるのですが、そのだめさがなんともはや。

とくにラストの川辺で愛人がザビーナ似であることがわかるシーンでは、「なんたる女々しさ!」と思いつつも、ぐっときて涙腺がゆるんでしまった。ラストは味わい深くて心に残りました。

あとは、ユングを唆すオットー・グロス役のヴァンサン・カッセルが、トリックスターとして効いていて良かった。 『Dr. パルナサスの鏡』トム・ウェイツを思い出したりしました。


★★★