ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

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新たな物語が、幕を開ける。
説明不要の新劇場版3作目。

総監督・脚本・原作:庵野秀明
監督:摩砂雪 / 前田真宏 / 鶴巻和哉
撮影:福士享
編集:李英美
音楽:鷺巣詩郎
主題歌:宇多田ヒカル桜流し


おもしろい考察や解釈はごまんとあるので、ごく個人的な印象だけを。

始まる前はとにかくおなかがいたくなるほど緊張していて、観ているあいだはものすごい集中力を強いられ、目が乾き、肩がこり、筋肉痛がぶり返すというていたらく…。「おれたちのエヴァが帰ってきてしまった……」という疲労感と、庵野カントクの「ワシのこと、そんなにかんたんにわかった気にならないでよねっ!」という高笑いが聞こえるような展開でありながら、中身はやはりエヴァとはちがう、ヱヴァだな、と思いました。

エヴァが自己にしても他者にしても「to be or not to be」というような非常に原始的な卵的懊悩であったのに比べて、ヱヴァは「自己と他者」はすでに前提となっていて、そのうえでどうする?というひな鳥的懊悩に進化している。

あとは、カントクもすごく親切になっていて、読んでみた限りでは、観客の解釈もバラバラにはならず、ゆるやかに同じ方向を向いているし、なにしろテーマをわかりやすく表記してくれている。(「序:YOU ARE (NOT) ALONE」
「破:YOU CAN (NOT) ADVANCE」
「Q:YOU CAN (NOT) REDO」)

「YOU CAN (NOT) REDO」と思いながら、ラスト、どうにかあの3人が同じ方向に向かって歩き出すのを見たら、どうしたって泣けてしまうし、その儚い希望のなか流れる 宇多田ヒカル桜流し』の神的シンクロ率には鳥肌をたてるしかない。


映画単体として観ても、シュールなほどのディスコミュニケーションが乾いたハードSFテイストの雰囲気を後押ししていて良し、と感じました。
次作への布石としても、否が応でも期待が高まるつくり。


★★★★