光射す方へ 一歩ずつ ふたりで
ファイターくずれの粗野なシングルファーザー アリ(マティアス・スーナールツ)が、事故で両脚を失ったシャチの調教師 ステファニー(マリオン・コティヤール)との絆を通して成長するお話。
原題:De rouille et d'os(錆と骨)
英題:RUST AND BONE
監督・脚本:ジャック・オディアール(『預言者』)
撮影:ステファーヌ・フォンテーヌ
編集:ジュリエット・ウェルフラン
音楽:アレクサンドル・デプラ
原案:クレイグ・デイヴィッドソン
予告の時点では、「今回は『預言者』とずいぶん毛色がちがうやつ撮るんだなー」と思っていましたが、観終わってみて「まぎれもなくオディアールや!!!」と。
本作が非常にすばらしく、かなりくらったため、その後も『真夜中のピアニスト』 『リード・マイ・リップス』と過去作を観てみましたが、これも同じ。きなくさい裏稼業に手を染めている男がなんとか這い上がろうとし、他者との関係性のなかで成長する話。好きな監督です。
真夜中のピアニスト DTSスペシャル・エディション [DVD]
- 発売日: 2006/05/26
- メディア: DVD
オディアール作品の女性像で特徴的なのは「同志」感が強いこと。もともとの資質が「強い」こと。過去作だと『リード・マイ・リップス』が近いと思うのですが、女性側のブレイクスルーをむしろ男性側よりも痛快に描いているし、それが男によってもたらされたものというよりは、男はきっかけにすぎない、というような描き方がおもしろい。属性とかしがらみを振り捨てた結果、本来の自分が開花するみたいな。まぁ、フランス女だもんなー。
本作も記憶に残るブレイクスルーシーンのすがすがしさたるや!「肉体」がだいじな要素を持った映画だってことが、びしばし伝わってくる。
- Katy Perry - Firework
- Bruce Springsteen - State Trooper (Trentemøller Mix)
- Nas - Bridging the Gap ft. Olu Dara
ここまでだとステファニーの話に見えがちだけど、やっぱりこれは基本的にはアリの物語だと思う。ヘレン・ケラーが「Water」を理解する瞬間みたいな、原始的な感動がありました。「この話、どこまで行ってしまうんだ…!」という興奮がある映画なので、あんまり書かないけれど、とにかく原題からこの映画の良さを汲んでほしいです。
サイコー!
★★★★