紙の月

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最も美しい横領犯。
バブル崩壊直後の1994年。銀行勤めの主婦が引き起こした大金横領事件の顛末とは。

監督:吉田大八
脚本:早船歌江子
撮影:シグママコト
編集:佐藤崇
美術:安宅紀史
音楽:little moa / 小野雄紀 / 山口龍夫
主題歌:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ『Femme Fatale』
原作:角田光代『紙の月』


できることならお金のことを考えずに生きていたい性分なので、この映画を観た後はどっぷり疲れてしまった。エンドロールに入って緊張がとけた瞬間、友だちのおなかが盛大に鳴り響いたのには思わず笑ってしまったけど、さもありなん。

「何も変わらない」はずだったのに、お金によって歪められ、損なわれてしまったいくつものもの―。「(本当は脆弱な)枠組からの逸脱」は吉田大八監督の十八番だけど、今作にはいつもの爽快感は薄く、なんだか奇妙な罪悪感が残った。

それにしても宮沢りえの美しさたるや!顔はもちろん、発声・たたずまい・所作・着こなし、すべてが美しい!この映画をもう一度観たいと思うとしたら、やはりこのポイントな気がする。
あとは女優陣との演技合戦もすばらしかったなあ。前半を引っぱる小悪魔・大島優子と後半バトンタッチする尼僧・小林聡美。2人の狂言回しとは逆の方向に宮沢りえが振り子を揺らそうとするのがおもしろかった。


★★★