博士と彼女のセオリー


生きる希望をつないだのは、無限の愛
車椅子の天才物理学者ホーキング博士。その知られざる愛の物語。
第87回アカデミー主演男優賞

原題:THE THEORY OF EVERYTHING
監督:ジェームズ・マーシュ
製作・脚本:アンソニー・マクカーテン
撮影:ブノワ・ドゥローム
編集:ジンクス・ゴッドフリー
音楽:ヨハン・ヨハンソン
原作:ジェーン・ホーキング『Travelling to Infinity: My Life with Stephen』
Based on a True Story.


ホーキング博士のプライベートについてなんの知識もなかったので、ポスタービジュアルから闘病美談モノかと思っていたら、全然ちがう!びっくりしました。
まず、非常に早い時点で病気の発症と2人の結婚。そこからの人生が長い。まさに夫婦の「小史」を観ている感覚。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し余命2年と宣告されたホーキング博士だが、73歳のいまも存命。短距離走だと思って走り出した結婚生活がゴールの見えないマラソンとなった、妻ジェーンの負担はたいへんなものだったろう。描写は極力淡々となるよう抑制されているけれど、3人の子どもの育児と夫の介護への疲労、自身の研究への未練が示唆される。第87回アカデミー賞主演男優賞エディ・レッドメインの熱演ももちろんすごかったけど、ジェーン役のフェリシティ・ジョーンズの無表情はものすごくリアルだった。

ついにジェーンが自分に好意を持つ男性を心身の支えとして家庭に迎え入れ、どうにか家族を「存続」させるに至る道筋とそのセオリーを受け容れざるを得ないホーキング博士
終盤、"How many years?" "They said - two. We've had so many. I have loved you."というやり取りのせつなさには思わず涙がこぼれてしまいました。

お互いより良い伴侶を見つけ離れてゆくけれど2人で生み出した結果に対する納得感は夫婦にしかわからないこと。夫婦って宇宙すぎるなー、としか言えない。


★★★