ディーパンの闘い

f:id:tally:20181225003119j:plain


フランス、パリ郊外―
スリランカの戦禍から家族を装って逃げてきたディーパンと女と少女。
全てを奪われた男は、家族のため、愛のため、光を求めて、闘いを挑む。
2015年カンヌ国際映画祭パルム・ドール

原題:DHEEPAN
監督・脚本:ジャック・オーディアール
脚本:ノエ・ドゥブレ / トマ・ビデガン
撮影:エポニーヌ・モモンソ
編集:ジュリエット・ウェルフラン
美術:ミシェル・バルテレミ
衣装:C・ブレック
音楽:ニコラス・ジャー


まず、このニュースが超おもしろくて*1

www.sankei.com

カンヌ最高賞受賞にブーイング。まとめにもなってるhttp://matome.naver.jp/odai/2143312503523595601


さてさて、大好きなオディアール監督の新作です。初見の印象は、オディアールの、『タクシードライバー』で、スタローン……「疑似家族」モノだと思って観ていると、あいかわらず一筋縄ではいかない。全登場人物の関係性に、枠にはめられない儚さがあり、緊張感を保ちつつ、物語が進んでいく。この人の作品は必ず後半に転調が待っているのですが、今作のツイストもすさまじい。

オディアールのフィルモグラフィのなかで言えば、パルム・ドール獲るなら『預言者』だし、個人的にも『リード・マイ・リップス』なんかのほうが好きなんですが、これが初期作じゃないってところにすさまじさを感じる。

ラストが賛否両論みたいですが、「ハッピー・エンディングに納得がいかない」って声を見かけて、お茶噴いた。ヤリニのあの眼差しといい、荘厳な音楽といい、わたしは完全にドライ&ビターエンディングだと思っていたので。
もっと言うと、「無私の愛とか家族との絆を描いた」というのにも違和感があり、逆にただひたすらに「己」の話であるように感じた。

「不器用は言い訳にならない」と肝に銘じて生きているので、不器用な男で泣くのは嫌なのですが、ディーパンよ……


★★★★