マジカルガール

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魔法少女ユキコは悲劇のはじまり。
第62回サンセバスチャン国際映画祭作品賞&監督賞受賞。

英題:MAGICAL GIRL
監督・脚本:カルロス・ベルムト
撮影監督:サンティアゴ・ラカハ
編集:エンマ・トゥセル


白血病で余命わずかな娘の「魔法少女のドレスが欲しい」という願いを、失業中の父が叶えようとするが……というあらすじから、誰がこんな展開を予測できるというの!?逆・賢者の贈り物!魔のドミノ倒し!!業の輪!!!信頼できる友だちがざわざわしていたので、観てきました。

鑑賞後、カルロス・ベルムト監督の「先生はアルモドバルとタランティーノ」というインタビューを読んで、なるほどな!と。この禍々しさは、『私が、生きる肌』を彷彿とさせるし、観客の想像力を信じた作品づくりは、タランティーノらしい。

魔性に対する生理的な不穏は『運命の女の子』を、解釈しだいでいくらでもおもしろくなる感じは『ロブスター』、を思い出しだりも。*1

運命の女の子 (アフタヌーンKC)

運命の女の子 (アフタヌーンKC)


わたしには、魔法少女アリシア)と守護天使(ルイス)が、引退したはずの魔女(バルバラ)と守護天使(ダミアン)を起こしてしまう話に見えました。おもしろかったのは、男性陣は相手の素性や背景を知らずに「願いごと」をしてしまい、それが負の連鎖へとつながってしまうこと。ルイスの「金を用意しろ」、精神科医の夫の「妻の話を聞いてくれ」、ダミアンの「見るな」―。
それに比べて、2人のファム・ファタールの「願いごと」といったら!知り尽くした相手に対する、これ以上ないやり方で、相手を思い通りに動かす魔力に満ちみちていて ヒィィィ……*2

また、バルバラのメイクやファッションが
女を強調してないとこがぐっとくるんだよなー。Phoebe PhiloのCélineっぽいハンサムなかんじ。



★★★★

*1:嘘をついたバルバラよりも、それを指摘したルイスに怒りが向かうシーンも、そういえば同じだ

*2:アリシアの方は無作為かもしれないけど、ダミアンを見つめるまなざしには充分魔女の素養が伺えると思う