ヒメアノ〜ル

f:id:tally:20181224234935j:plain


めんどくさいから殺していい?
捕食者と被食者。この世界には、2通りの人間しか存在 しない。

監督・脚本:吉田恵輔
撮影:志田貴之
編集:鈴木真一
美術・装飾:龍田哲児
衣装:加藤友美
音楽:野村卓史
原作:古谷実ヒメアノ〜ル


最初告知を聞いたときは、「吉田恵輔が『ヒメアノ〜ル』!?」とちょっと意外に思ったのですが、ふたを開けてみればバッチリ。よくよく考えてみれば、吉田監督の「“日常”に“非日常”が入り込んでくる」「地に足がつかない人たちのムズムズ感(危うさ)」描写は、古谷実の「日常ととなりあわせにある闇」「くすぶっている男に訪れた思いがけない僥倖の顛末」というモチーフと親和性が高いのであった。『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパーから評価されているわけだし、至極当然の起用だったか〜。

で、前評判通りのすさまじさでした。
半吉田監督お得意のくすぐったいようなラブコメ描写にくすくす笑いがもれるなか、宣戦布告のようなタイトルバックに鳥肌。実在感がすばらしいキャスト陣の中、もともと虚無感ある存在だと思っていた森田剛がこわいこわい。後ろのひとが蹴ってくる席に当たってしまったのもあり、二重にこわい。*1
中盤クライマックスのセックスと殺人を交錯させるシーンは、思わず拳を握りしめ固唾をのんで見入ってしまいました。

しかし、わたしは日々キ○ガイに死ぬほど気をつけているため、カップルと警官の不用意さには怒りすら感じたよ。キ○ガイには躊躇というものがないので、こちらは周到な計画と充分な警戒でそれをカバーするしかないのに!ロープよりスタンガン!!『悪魔のいけにえ』大好きな夫も大盛り上がりだったため、ふたりで「ここに森田くんが現れたらどうする?」と日々のシミュレーションに余念がありません。


★★★★

*1:客電点いたあと、「もしやあなたもサイコパス!?」と思って、おそるおそる後方を確認したら、『ソロモンの偽証』の市川美和子そっくりの雰囲気をかもしだしてる女性でふるえました……