妻が死んだ。
これっぽっちも泣けなかった。
そこから愛しはじめた。
監督・脚本・原案:西川美和
撮影:山崎裕
編集:宮島竜治
美術:三ツ松けいこ
衣装:小林身和子
作曲:中西俊博 / 加藤みちあき
挿入歌:手嶌葵
映画を観て、すぐ原作を買いに走りました。映画だけでも「すげーな……」と思ったのですが、原作も併せると舌を巻くしかない。西川美和監督、才能の塊だわ。
そしてはじめて西川監督に是枝監督の弟子感を感じました。
- 作者:美和, 西川
- 発売日: 2016/08/04
- メディア: 文庫
とにかく主人公・衣笠幸夫の、自分中心でええかっこしいのくせに意外と単純で情深いところとか、ホント自分を見ているようで耳が(目が?)痛かったり……。
他にも真平の「自分と価値観がちがうお父さんと暮らしてゆくことのたまらなさ」とか、池松壮亮の唯一無二のたたずまいとか、感情が揺さぶられつづけていそがしい。
原作を読むと、「この要素バッサリ切ったんだ!もったいない!」と思う部分が少なからずあるのですが、これを映画にまるごとぶちこまれてたら、たぶん感情がついていかなかっただろう。媒体に合わせた見切りの的確さもおそろしい。
もともと「人生は他者だ。」というメッセージを自分に染みこませなきゃいけない類の人間なのと、個人的にいまこのタイミングで観たこと、で非常に刺さるものがありました。
ジャンルは全然ちがうけど、この文章も貼っておきます。
(承前)まだこうして生きている。
だがもはや、この人生は自分だけのものでしかない。
自分が人生の唯一の所有者であり、唯一の受益者になってしまったら、
つまり自分が人生の主役になってしまったら、
その人生はもうそれほど面白くはない。
- 作者:ピエール ルメートル
- 発売日: 2014/09/02
- メディア: 文庫
★★★★★