たかが世界の終わり

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自らの死を告げるため、12年ぶりに帰郷した34歳の作家ルイ。
美しき天才グザヴィエ・ドランが辿り着いた、家族の<愛>の答えとはー。
2016年カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ

英題:IT'S ONLY THE END OF THE WORLD
監督・脚本・編集:グザヴィエ・ドラン
撮影:アンドレ・トュルパン
美術:コロンブ・ラビ
音楽:ガブリエル・ヤレド
原作:ジャン=リュック・ラガルス『Juste la fin du monde(まさに世界の終わり)』


DVDで観たものはふだんメモしていないけれど、かるく覚書を。

登場人物のアップがつづく緊張感と閉塞感は、グザヴィエ・ドランが感じている「家族」の息苦しさそのものか。全編にわたって堂々巡りの言い争いがくり返されるので、複数回観たいと思うような作品ではない。

しかし、そもそも年齢も嗜好も哲学もちがうのにただ血のつながりという一点に依って成り立つ「家族」というものの脆弱さ・いびつさよ。他人と居るほうが快適だし、わかりあえることもある。なぜか「家族」にこそ「愛」と「理解」を過剰に期待してしまう滑稽さよ。
それでも「恋のマイアヒ」をバックにはじけるまぶしすぎるシーンが、ひとの原風景になり得ると思うと泣ける。


★★★