勝手にふるえてろ

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この恋、絶滅すべきでしょうか?
“脳内片思い”の毎日に“リアル恋愛”が勃発!?
2人の彼氏(?)の間で揺れながら 傷だらけの現実を突き抜ける暴走ラブコメディ!

監督・脚本:大九明子
撮影:中村夏葉
編集:米田博之
美術:秋元博
衣装:宮本茉莉
音楽:高野正樹
原作:綿矢りさ勝手にふるえてろ


松岡茉優さん…すき……。ずうっと見ていられる。このひとが演じなければ、ヨシカはここまで観客に受け容れられなかったと思う。ヘッドフォンのビートにのって皿を洗う松岡さん、ピクニックでお茶をついでくれる松岡さん、勝負服で颯爽と出かける松岡さん、かわいい…!かわいいよ!

映画を好きな人種なら、誰しも心にヨシカを飼っていて、二の出現を心待ちにしていると思う。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』『鑑定士と顔のない依頼人』に通じるような、快適に自己完結した孤城から出て、現実に塗れて他者と向き合うのだ、というメッセージはとても好きだし、お城から連れ出してくれる相手は幻想を投影し合うイチではなく、自分以上に自分を理解し受容しようとする二なのだと、はっきり描いているのに深ーーーく頷いてしまう。わたしにはずっと二が王子様に見えていた。いま恋愛で苦しんでいるひとは二を門前払いしてイチを追いかけているひとが多いような気がする。この映画を見せたい女子の顔がたくさん浮かんだ。

とても楽しく切なく観たし、共感するところも山ほどあったけど、自分の映画ではないな、と思った瞬間つよく自らの老いを感じてかなしくなった。わたしがこの映画で一番なりたくて親近感がわいたのは、角打ちでヨシカと二にからんでいた上司である。かわいいカップルを肴に酒をのんでいい気分で酔っぱらいたい。もうそういう場所まで来てしまった。


★★★★