君の名前で僕を呼んで


何ひとつ忘れない。
17歳と24歳の青年の、初めての、そして生涯忘れられない恋の痛みと喜びを描くまばゆい傑作。
第90回アカデミー脚色賞

原題:CALL ME BY YOUR NAME
監督:ルカ・グァダニーノ
脚色:ジェームズ・アイヴォリー
撮影監督:サヨムプー・ムックディプローム
編集:ヴァルテル・ファサーノ
美術監督:ロベルト・フェデリコ
プロダクションデザイン:サミュエル・デオール
衣装デザイン:ジュリア・ピエルサンティ
歌曲:スフィアン・スティーヴンス
原作:アンドレ・アシマン『Call Me by Your Name』


なんてうつくしくて、繊細で、エモーショナルな映画!旧約聖書ユダヤ教ギリシャ文化になぞらえて読み解くのも刺激的で、いろいろなブログを巡回するのが楽しいのですが。

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監督が「直感的なアプローチを取っている」と話していたので、わたしもいつも通りに直感的な感想をおぼえがきしておこうかな、と。

まず感じたのは、「ハウスのパーティーのような映画」ということ。じわじわ焦らしつづけて、ついに訪れるピークからさらに先へ……と涙が出てくるような多幸感とせつなさの映画だな、と感じました。

そして、「バカンス」のうつくしさを享受できる「文化資本」が印象に残りました。とにかく、バカンスの描写がすばらしい。あふれんばかりの日差し、草いきれ、川遊び、読書、果物、音楽、煙草、シエスタ、ダンス、自転車、視線を隠すサングラス、秘密の聖域、ショートパンツ(のアーミー・ハマー)……そして、その場にゆとりと安寧をもたらしているのは、やはりエリオの両親だと思う。彼らは「聡明さ」と「善良さ」でひとをはかっている。それ以外のレッテルは唾棄すべきものだと考えている。

エリオへの手助けは少し出来すぎなくらいである。基本的には本人の意思にまかせつつも、可能性をそっと示唆し、傷ついた時には即座にフォローする。「痛みを葬り去るな」と。学者が(だからこそ?)「Think」より「Feel」を説くのにぐっときました。エリオ父がアーミー・ハマーギリシャ彫刻のスライド見せまくるのアシストが過ぎてたし、自分が到達できなかった過去の述懐もちょっと笑ってしまった。

タイトルの「相手を自分の名前で呼ぶ」という行為は、ひとによって様々な捉え方があって、それを聴くのがまた楽しそうだけど、わたしは「自分のことのように相手の生を愛し、また自分より優れている感じる相手と同じように自分の価値を認める」行為なのかな、と思いました。

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★★★★