パンとバスと2度目のハツコイ

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スキにならずに、スキでいる。

監督・脚本:今泉力哉
主題歌:Leola


シネフィルの方に「好きだと思います」と薦められて。
すごいわー!甘酢乞食にドストライクなやつでした。

年齢や性別や立場に係らない、名前をつけられないような感情の描写がとても丁寧で、思わず観入ってしまった。

自分の価値や相手の感情が信用できなくて、先回りして考え込みすぎて、さみしくありたくて、結婚に踏み切れない、というのは完全に自分もそちら側で、「自分は結婚しない」と思っていた人間なので、のっけから引き込まれてしまいました。
結婚する/した理由を答えられるタイプの人と、答えられないタイプの人、どちらもすてきだ。

登場人物が各々惹かれるさまに、ものすごく説得力がある。あぁ、彼女(彼)はこのひとのこういう部分がまぶしくてしかたがないだろうな、っていう。
ふみにないものがあふれでまくっているけれど、なんとなく「孤独」との距離が似ているたもつ。
絵をやめてしまった姉のことをわかりたくて描く二胡
焼けてしまった駄菓子屋の話に「本当かどうかなんてどうでもいいよ」と言うふみを見るさとみの表情。伊藤沙莉ー!結婚して子どもがいても自分のセクシュアリティがなおよくわからないって、めちゃくちゃ信頼できる。


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クライマックスの大室山のシーンでは、笑いながら泣いてしまった。みもふたもないたもつの叫びに呼応したふみの叫びは、きっと彼女の気持ちに対してあまりにも単純化されすぎていて、余白やひだの部分が吹き飛んでしまっていただろうけど、それでも叫ぶべき時があるんだろうな。魅力的だー!どうしたらいいんだー!

「その魅力の本質を知ってしまっても、憧れ続けることができるのであれば……」という〆は、ちょっと言語化しすぎなきらいはあるけれど、完全にFAなのでしかたがない。ほんとそうだよな。


★★★★