ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

f:id:tally:20190913091409j:plain


ラスト13分。タランティーノがハリウッドの闇に奇跡を起こす。

原題:ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD
監督・脚本・製作:クエンティン・タランティーノ
撮影監督:ロバート・リチャードソン
編集:フレッド・ラスキン
プロダクションデザイナー:バーバラ・リング
コスチュームデザイナー:アリアンヌ・フィリップス


なんというぜいたくな時間……!ほんとうに色々な意味で夢のような映画でした。いつも以上にタランティーノの愛と思い入れを感じて、まるで隣に彼が座っているかのようだった。
タランティーノの墓守歌&バチェラー・パーティー。地元ハリウッドと映画史へのラブレター。筋金入りの映画狂ならではの、愛とやさしい嘘にあふれたおとぎ話。

まず、ディカプリオ&ブラピのバディものとしての、尺の大盤振る舞いに拍手。ディカプリオが姫で、ブラピ(&忠犬!)が騎士(&白馬?)。さすがタランティーノのおとぎ話は一味も二味もちがう。ブラピがやおら脱ぎだした瞬間には、脳内タラちゃんがミサトさんの声色で「サービスサービスゥ♪」って言ってきて死んだ。あの二人の視線の絡ませ方、ブラピの助手席に手を置いての車バック、タラちゃん レオになってブラピに抱かれたいんだな……って思いました。

そして、もう一人の姫。マーゴット・ロビーが演じるシャロン・テートもすばらしい。劇場で観客の反応を満喫しながら、自身の出演作を楽しむシャロン!そのコロンブスの卵的アイデア自体に感動したし、シーンそのものもあたたかな多幸感にあふれている。その後の彼女の現実の運命を思うとなおさら胸がつまって、号泣してしまった。このシーンにはまちがいなく魔法がかかっているし、この映画全体のトーンを決定づけていると思う。出色の出来。パンフレットには、マーゴットの「ずっとタランティーノの映画に出たかったけれど、力不足で連絡できなかった。『アイ,トーニャ』でようやく自信が持てて、手紙を書いた」というインタビューが載っており、これも激エモ。

あとは、今までになかった、タランティーノの目線が感じられたのも、感慨深くてぐっときました。たぶん、まちがいなく、親になるひとの目線。これまで女性への目線がことごとく「強い女性への憧憬」で、それが最高だったタラちゃん。今作はシャロンや子役のトルディはもちろん、マンソン・ファミリー*1へすら、庇護対象を心配に見守るような「親心」が感じられる。女の子生まれる気満々じゃないの?*2

ラストの乱痴気騒ぎは、タランティーノホモソーシャルな仲間への愛を込めて、バチェラー・パーティーを繰り広げているようで、とたんにブラピがイーライ・ロスエドガー・ライトに見えてきて、また泣ける。そりゃ最高の男(たち)との別れには、2~3人殺さないと格好がつかないよな。
ラストの甘い幻のような展開は、もはや三途の川描写に近く、タランティーノの願望がほのかに表れているようで…、醒めない余韻。


★★★★★

*1:プッシーキャット

*2:ジュリア・バターズちゃんみたいな娘 ほしいんだろうなー!