ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

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ラスト13分。タランティーノがハリウッドの闇に奇跡を起こす。

原題:ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD
監督・脚本・製作:クエンティン・タランティーノ
撮影監督:ロバート・リチャードソン
編集:フレッド・ラスキン
プロダクションデザイナー:バーバラ・リング
コスチュームデザイナー:アリアンヌ・フィリップス


なんというぜいたくな時間……!
ほんとうに色々な意味で夢のような映画でした。
いつも以上にタランティーノの愛と思い入れを感じて、
まるで隣に彼が座っているかのようだった。
タランティーノの墓守歌&バチェラー・パーティー
地元ハリウッドと映画史へのラブレター
筋金入りの映画狂ならではの、愛とやさしい嘘にあふれたおとぎ話。


まず、ディカプリオ&ブラピのバディものとしての、
尺の大盤振る舞いに拍手。
ディカプリオが姫で、ブラピ(&忠犬!)が騎士(&白馬?)。
さすがタランティーノのおとぎ話は一味も二味もちがう。
ブラピがやおら脱ぎだした瞬間には、脳内タラちゃんが
ミサトさんの声色で「サービスサービスゥ♪」って言ってきて死んだ。
あの二人の視線の絡ませ方、ブラピの助手席に手を置いての車バック、
タラちゃん レオになってブラピに抱かれたいんだな……って思いました。

そして、もう一人の姫。
マーゴット・ロビーが演じるシャロン・テートもすばらしい。
劇場で観客の反応を満喫しながら、自身の出演作を楽しむシャロン
そのコロンブスの卵的アイデア自体に感動したし、
シーンそのものもあたたかな多幸感にあふれている。
その後の彼女の現実の運命を思うとなおさら胸がつまって、号泣してしまった。
このシーンにはまちがいなく魔法がかかっているし、
この映画全体のトーンを決定づけていると思う。
出色の出来。
パンフレットには、マーゴットの「ずっとタランティーノの映画に出たかったけれど、
力不足で連絡できなかった。『アイ,トーニャ』でようやく自信が持てて、
手紙を書いた」というインタビューが載っており、これも激エモ。


あとは、今までになかった、タランティーノの目線が感じられたのも、
感慨深くてぐっときました。
たぶん、まちがいなく、親になるひとの目線。
これまで女性への目線がことごとく「強い女性への憧憬」で、
それが最高だったタラちゃん。
今作はシャロンや子役のトルディはもちろん、
マンソン・ファミリー*1へすら、
庇護対象を心配に見守るような「親心」が感じられる。
女の子生まれる気満々じゃないの?*2


ラストの乱痴気騒ぎは、タランティーノホモソーシャルな仲間への愛を込めて
バチェラー・パーティーを繰り広げているようで、
とたんにブラピがイーライ・ロスエドガー・ライトに見えてきて、また泣ける。
そりゃ最高の男(たち)との別れには、2~3人殺さないと格好がつかないよな。
ラストの甘い幻のような展開は、もはや三途の川描写に近く、
タランティーノの願望がほのかに表れているようで…、醒めない余韻。


★★★★★

*1:プッシーキャット

*2:ジュリア・バターズちゃんみたいな娘 ほしいんだろうなー!