CLIMAX

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鮮烈に、堕ちる
鬼才ギャスパー・ノエ最新作
すべての感覚を支配する狂乱とカオスの97分間

監督・脚本・編集:ギャスパー・ノエ
撮影監督:ブノワ・デビエ
編集:ドゥニ・ベドロウ
プロダクションデザイン:ジャン・ラバッセ
衣装:フレッド・カンビエ
振付:ニーナ・マクニーリー


ダンス大好きなので観たい!けどなんだか途方もなくグロそう……とずっと二の足を踏んでいましたが、ここのところ体調が極悪で、「極悪には極悪をぶつけて相殺!あとは野となれ山となれ~」という気持ちでドーンと観てきました。




目を背けたくなるようなエロ・グロ・バイオレンスが展開され、「妊婦がヒドい目に合うって、絶対腹かっさばいて胎児引きずり出すでしょー!」とか思っていたのに、全然ちがう映画でした。

むしろ各々のバッドトリップが趣深く、ふしぎと染みる映画……。
最も恐れていたことが現実になってしまう者、最も恐れていたことに一線を踏み越えてしまう者、思ってもみなかった欲望を引きずり出される者、ひたすらに己と向き合う者、ふしぎと晴れやかに昇天しているように見える者―

やはり長いこと夜遊びしていた自分にとっては、最高と最悪が訪れる狂乱の一夜と伸び縮みする時間、その夜が明けた朝の無常感と哀愁と切なさ、青春の焼畑みたいなものに、すこし親しみやなつかしさが感じられ……。

「Supernature」ダンスシーンやギャスパー・ノエのクレジット芸は冴えわたり、Lii' Louisの"French Kiss" BGMに猥談シーンには笑ってしまったり*1、と妙に魅力のあるポイントも多かった。地獄絵図にはまちがいないんだけど、悲喜こもごもがすぎて正直不謹慎にも笑ってしまうシーンも多かった*2

ちなみにダンスシーンで「推し!」と思ったのは、黒髪ボブのおねえさん。天井定点カメラも、ふだんは観ることのできない、ダンサーたちの背筋の躍動がたまらなかったです。あと、ラストすべてをかっさらう金髪ボブのおねえさんが髪型&長身が友だちを彷彿とさせ、個人的には快哉を叫んでしまいました*3

あいのり/テラハ的ゴシップ要素も個人的には大好物だったので、インタビューコメント付の相関図つくって、観返したいです。


★★★★

*1:素直かよ!

*2:自分も親なのですが、「鍵ないーッ!」にはさすがにふきました……

*3:友だちの方が華奢で美人なのですが、タフさが妙に似ている