ア・ゴースト・ストーリー

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これは、記憶の旅の物語ー
自分がいなくなった世界で、残された妻を見守る
一人の男の切なくも美しい物語

原題:A GHOST STORY
監督・脚本・編集:デヴィッド・ロウリー
撮影監督:アンドリュー・ドロス・パレルモ
美術監督:デヴィッド・ピンク
衣装デザイン:アンネル・ブローダー
音楽:ダニエル・ハート


これは映画館で観ておきたかった!痛恨!!2018年公開時に観ていたら、年間ベスト級だったろう。A24製作で気になる作品は迷わず行くべきなんだな……。
無神論者でありわたしと同い年の監督の死生観には、琴線に触れるものがあった。チャーミングで深遠な幻想譚。

アスペクト比スタンダードサイズで撮影された画面には、美しいホームビデオやおとぎ話の絵本のような親密な空気感があり、『レイチェルの結婚』を思い出したりした。

一方で、非常に個人的な物語が時空を超えて、永遠性や普遍性を獲得する様子には、『インターステラー』のSF要素や、『ツリー・オブ・ライフ』叙事詩的要素があり、とくに詩情あふれるビビッドなショットの連なりは、テレンス・マリックを連想させた。

時間の伸長や省略の描写も効いていて、えんえんとビーガン用チョコレートパイを食べるルーニー・マーラは圧巻だったし、Kylie Minogueの「Come Into My World」やUAの「閃光」を思わせるようなPV的なアイデアも光っていた。

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  • UA - 閃光

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とにかく、後半はずっと泣いていた。感想を見てみると、生者側にも死者側にもそれぞれ感情移入している人がいて、たぶん観る時期や年代によって、また感じることも変わってくると思う。折にふれて観返したい映画になりました。


★★★★★