原題:UNCUT GEMS
監督:ジョシュ・サフディ、ベニー・サフディ
脚本:ロナルド・ブロンスタイン、ジョシュ・サフディ、ベニー・サフディ
撮影:ダリウス・コンジ
編集:ロナルド・ブロンスタイン、ベニー・サフディ
美術:サム・リセンコ
衣装:ミヤコ・ベリッツィ
音楽:ダニエル・ロパティン (OPN)
A24 x Netflix! 途切れることのない綱渡りと、瞬時に切られる狂気の舵取りによるジェットコースター。その果てに訪れる妙な感動と深い哀愁。ポン・ジュノの2019リスト入りも納得。
サフディ兄弟の父が語った話にインスパイアされたという本作は、まずアダム・サンドラー演じるユダヤの宝石商(!)ハワードのアクがすごい。「きみは仕事も恋愛も自転車操業でないと死ぬの?」と問いたくなるようなアドレナリン全開の破綻ぶり。実在したら絶対に近づきたくないタイプ*1のろくでなしなのだが、一挙手一投足に笑ってしまうし、どうしてもにくめない。おそらく彼らの父の“fractured personality”も多分に投影されているせいか、描き方に愛情とやさしさが見える気がする。タイトルの"UNCUT GEMS"は、ハワードが一発逆転をかけるブラックオパールの原石を表しているのと同時に、割礼していない/未成熟 (UNCUT) なハワードを表しているんだろうと、すっと思えるような魅力がある。
バカみたいにイイ顔してるよな……。
そして、今のご時世にオールドスクールすぎる愛人ジュリアが大好き!彼女のひたむきでむこうみずな姿が神々しく輝いてみえるのも、映画の良さだなと思う。こんな愛人、誰だってほしいよ!
あとは、ケビン・ガーネット (KG)やThe Weekndを本人役でキャストする毒っ気も最高だし、タイトルと音楽のセンスに脱帽!だいぶ好きな味わいの映画です。
サフディ兄弟、チェックしていこうっと。
★★★★
*1:新卒で就職した会社のクライアントに顔もキャラも似た人がいたのだが……