初恋

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最期に出会った、最初の恋
誰ひとり欠けても、この恋は生まれなかった

監督:三池崇史
助監督:山口将幸
脚本:中村雅
撮影:北信康
編集:神谷朗
美術:清水剛
装飾:岩井健志
編集:神谷朗
音楽:遠藤浩二


うれしいことに、今年に入って鑑賞した映画が粒ぞろいなのですが、このご時世に公開される映画として出来が良すぎて……。なにも考えずにカタルシス!な「ヒャッハー」映画への思いがつのる。ほんとはチャリエン観たかったんだけど…(合う回がなかった)くらいのテンションで観に行ったのですが、予想をはるかに超えてぐっときてしまいました。

Payback, 憑物落とし, Rebornな『トゥルー・ロマンス』!古き良き邦画のいなたさ!!これは良い三池!!!

まず、一夜で世界が変わってしまう群像劇って時点で大好物なんですよね。そしてそれを彩るキャラ立ちまくりの登場人物。全員に各々の物語があって、そのひとなりの懸命さで生への渇望があって、結果清々しいほどの死にっぷりで、人生に決着をつけていく―、そういう人生賛歌になっていると思いました。

とにかく、役者がみんなすばらしいし、見せ場が映える!おそらく一番の芸達者がやるべき狂言回し役の染谷将太のババア殴りに大量殺人にヤクすりこみ。大森南朋の「ユニディってなんでもあるな」に「イイ顔してるじゃないか」、「あきらめるな…あきらめるな…」からの「やべっ」誤射。バール片手にゾンビ&極妻枠を一手に担うベッキー。毎度キメッキメの画で極道を体現する内野聖陽と、もはやブロマンスみすらある片腕を奪われた仇敵ワン、さらに始まらなかったチアチーとの「初恋」。

窪田正孝&小西桜子カップルはお互いつらい生い立ちだけれど、元凶である親や環境に対するリベンジではなく、あくまで自分との戦いによって新たな人生を獲得するのに泣けた。窪田正孝が余命問題で一旦完全に脱力した後、「死んだ気になりゃ、やれるはずってこと……!」と自らをリブートする一連のシークエンスにはめちゃくちゃ胸が熱くなったし、ユニディ離脱後、ふわっとしたハッピーエンドにせず、小西桜子に恋によく似た「崇拝」から卒業させ、まずは薬物治療を経て自立を徹底させる、ところもすばらしかった。

お互いが過去を清算して、ひとりで立てる対等な人間になって初めて「恋」が始まる。「筋」と「仁義」を通すという意味で、まごうことなき「任侠映画」だなと思いました。


★★★★