ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス


禁断の世界<マルチバース>が、開かれる

原題:DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERSE OF MADNESS
監督:サム・ライミ
製作:ケビン・ファイギ
脚本:マイケル・ウォルドロン
撮影:ジョン・マシソン
編集:ボブ・ムラウスキー、ティア・ノーラン
美術:チャールズ・ウッド
衣装:グレアム・チャーチヤード
音楽:ダニー・エルフマン


サム・ライミも魔術も大好きなので、ダークなファンタジアみたいな映像は楽しかった……けどストーリーは無理すぎて、正直ずっとワンダ勝て!こんな世界は滅びろ!と思いながら観てしまった。That Doesn’t Seem Fair.




ワンダがストレンジに投げかける問いは、わたしが最近のMCUに感じるモヤモヤにかなり近くて、自己言及的だと感じたけれど、結局最後までワンダの問いに納得いく答えが返ってこなかった気がする。わたしは、起こっていることの重大さの割に熟慮や議論がないままアクションが始まり、結局特定のキャラに甚大なしわ寄せを受け止めさせるというMCU構図が嫌いなんだけど、今回もその気配があった。

ワンダに優しくしてくれるのは(マルチバースの)自分だけって…残酷すぎんか?みんなワンダの人生なんだと思ってるの??ストレンジにはダークホールドもアメリカの力も使わせようとするのに、ワンダにはあたたかいお茶の一杯もあげられないの???ストレンジは帰ってくる…じゃねえのよ!*1まずワンダに優しくしろ!ワンダ帰して救え!

そもそもわたしにはワンダの野望がそんなにまずいことなのかもよくわからなかったし(ストレンジにダークホールド渡す方がよほど危険に思える)、『NWH』ではヴィランを治すという概念すら登場したのに、今まで多大な犠牲を払ってきた彼女の人生ってこんなふうに扱われていいものなのか?

やっぱりここ最近のMCUの思想は自分には合わないんだな……と再確認した。『シャン・チー』『エターナルズ』など本筋にがっつり絡んでいない作品なら楽しめるのに、本筋に触れる作品だと絶対に怒ってしまう。今回はサム・ライミだから絶対観たかったし、サム・ライミ映画としては楽しめるけど、ヒーロー映画としては楽しめなかった。
友を救おうとしないヒーローに、民を救ってほしいと思えない。*2今後のMCUは熱心に追わないだろうなと改めて思った。*3


★★★

*1:今回はワンダを勝たせて、「ストレンジは帰ってくる」ならよかったよ

*2:前作もストレンジ先生も好きなのですが…

*3:ちなみに『ワンダヴィジョン』も観ていないのですが、「こういうあらすじだったら嫌だなーと思っているんだよね」と妹に話した内容そのものだったっぽいのでお察し……