リコリス・ピザ


この出会いは運命

原題:LICORICE PIZZA
監督・脚本・撮影:ポール・トーマス・アンダーソン
撮影:マイケル・バウマン
編集:アンディ・ユルゲンセン
衣装デザイナー:マーク・ブリッジス
美術:フローレンシア・マーティン
音楽:ジョニー・グリーンウッド


PTA新作を観られる喜び~~~!しかもタイトルはレコード・ショップ・チェーンの名前(アナログ・レコードのスラング)!腕まくりで初日に行ってきました。

PTAってふしぎな監督だ。『TWBB』や『ザ・マスター』『ファントム・スレッド』など息苦しいほど濃密な空気の映画を撮るかと思えば、こんなに軽やかでスカスカな(よく言えば風通しの良い)、多幸感にあふれた作品も見せてくれる。『パンチドランク・ラブ』、『インヒアレント・ヴァイス』の系譜に『ブギーナイツ』のエッセンスがかかった感じ。『OUATIH』や『あの頃ペニー・レインと』を思い出したりも。
しかも今作は恩師の娘(しかも一家総出)と盟友の息子主演で、舞台・地元(サンフェルナンド・バレー)、友だち(ゲイリー・ゴーツマン)の話……とかつてないほどのプライベート感!いったい何を見せられてるんだ?と微苦笑してしまうような愛らしさが詰まっていて、終始ホンワカパッパしてしまった。とにかく主演二人の顔~~~良い~~~。

とくにずっと見ていられるアラナ・ハイムすごい。PTAが「ウォーキングの天才」と称するように要所要所でかましているウォーキングが最高。姿勢悪いのにこの魅力はなんなんだろ?と鑑賞中にぼんやり考え込んでしまうくらいだった。そういう観方ができてしまうくらいすき間が豊かな映画だなと思った。

しかし、こうして並べてみると、実はPTA作品ってしょうもないひとたちのちょっとメロドラマ的ですらある益体もない話ばかりなんだけど、どうしてそれがこんなにも胸を打つんでしょうね?この作品も「目をそらしたり、回り道やすれ違い(携帯がない世界!)もしたけれど……やっぱり彼/彼女がすきーーーッ!」というやれやれ着地にも関わらず、ものすごい清涼感と多幸感があった。全編にわたって目から伝わってくるLAの気候もあいまって、脳内がサーッと除湿されたようでした。サントラ絶対に買う!


www.banger.jp

小ネタおもしろい~


★★★★