グリーン・ナイト


怪物と戦う者は みずからも怪物とならぬよう心せよ

原題:THE GREEN KNIGHT
監督・脚本・編集:デヴィッド・ロウリー
撮影:アンドリュー・ドロス・パレルモ
美術:ジェイド・ヒーリー
衣装:マウゴシャ・トゥルジャンスカ
音楽:ダニエル・ハート


『A GHOST STORY』ですっかりファンになってしまったデヴィッド・ロウリー監督がA24と再タッグ!

友だちからのアドバイスで原典『ガウェイン卿と緑の騎士』のあらすじだけ頭に入れて鑑賞したのだけれど、これが良かった。この話を全く知らなかったら、「これなにのなに???」となっていただろう。知っていたらいたで、へんな映画だなぁーーーと笑ってしまった。

まずとにかく美徳ミッション全然クリアしない。(5つの美徳*1についてもあんまり教えてくれない。)一年準備期間があったのに全く成長しておらず、見返り要求したり、毒キノコ食べてゲロ吐いたり、嘘ついたり、射精したりと、かなり終盤までしょうもない……。なのにじっくり尺取るし、撮影や音楽は文句なしに幻想的で荘厳でうつくしい。バリー・コーガンはムダにいきいきしてるし。


結局冒頭にエセルが言う「善良なだけで十分」に回帰するのと、どんなにもがいても人間がたどり着けるのはそこくらいなのかも…と思わせるような描写が、監督の妙な達観とあたたかみを感じて、やっぱりこの監督好きだなぁと思いました。

正直メタファーを理解しきれたとは思えないし、原典自体に様々な解釈があるものなので、原典にくわしいほど解像度が上がって楽しい作品だろうなとは思う。


きつねは最高にかわいかったさ。


★★★★

*1:「寛大」「慈愛」「貞節」「礼節」「敬虔」