ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー


想いは、受け継がれる。
第95回アカデミー衣装デザイン賞

原題:BLACK PANTHER: WAKANDA FOREVER
監督・脚本・原案:ライアン・クーグラー
脚本:ジョー・ロバート・コール
撮影:オータム・デュラルド・アーカポー
編集:マイケル・P・ショーバー、ケリー・ディクソン、ジェニファー・レイム
美術:ハンナ・ビークラー
衣装:ルース・カーター
音楽:ルドウィグ・ゴランソン
主題歌:リアーナ


ここのところMCUいちゃもんおばさんと化しているのですごく迷ったのですが、ブラックパンサーは自分にとって特別なヒーローなので、意を決して観に行きました。覚悟はしていたものの、いろんなきもちのせめぎ合いで、受け取り方がとても難しかった。


以下ネタバレ




まずは葬儀に参列させてくださりありがとうの気持ち、そして継承の重圧を体現するレティーシャ・ライトのかっこよさ、ブラックカルチャー大好き!の再確認に泣いた。

シュリとオコエ、スタイリッシュすぎて血吐いた。


しかしこれじゃあワカンダ・フォーエバーできないよ……。最強国家がこんなに好戦的じゃ推せないよ。法律がないに等しい国家にヴィブラニウムを独占させるのこわすぎる。自国の領土を侵されるとすごく怒るくせに、他国のルールや領土は敬意なく侵害しまくる。*1とりわけ無辜の民銃殺開戦にはひいた。ねぇ?まず謝ろ?彼女のことを大事に思う誰かから復讐される覚悟ある?

ヒーローとしての闇描写はすごく好みで魅力的だったものの、民の巻き込まれ事故っぷりが甚大すぎて…。MCU事情をフル忖度してもかなりつらかった。これは『アラジン』でのジャスミンの描写に対して感じた怒りにかなり近い。ヒーローが高潔でなくても良いのだが、シュリを格好良く魅力的に描けば描くほど、その行動が「過ち」だと示さないのは害悪に感じられる。まして「王」なんだよ。おれたちはもうAfterバーフバリの世界に生きてるんだ。

エンド・クレジットもシュリの負担減らしたいの?ジュニアに王位継承させたいの?どっち!?とモヤモヤするし、ジュニアのハキハキ回答には吐き気がした。息子にしてもヴィブラニウムの扱いにしてもティ・チャラ陛下の遺志とちがう方向に向かっている気がしてなんだかなー……と、うすら寒い気持ちになってしまった。


★★★

*1:アメリカでのカーチェイスや大西洋開戦など、本来アガるシーンなのに……