ワンダーラスト

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これがマドンナの堕落論

原題:FILTH AND WISDOM
監督・脚本:マドンナ


客電がついたとき、となりの女子2人組がちょうびっくりした顔で「おもしろかったね!」と言い合っていました。そんなかんじ。わたしは信頼できる筋からのススメでかけつけたのですが、うわさにたがわず、よい映画でした。

夢と現実のあいだでもがくひとたちが、長い滑走路を走ってきてテイクオフする瞬間を見せるんだから、ぐっとこないわけがない。ライブハウスでとびはねる盲目の詩人。希望の光と多幸感で胸がいっぱいになりました。

なかでもバレリーナ志望のホリーがストリッパーとして腹をくくるシークエンスでは、テンションだだあがり。モロコスプレだったので、「来い来い・・・!」と念じてはいたけれど、ほんとに「...Baby One More Time」がかかった瞬間には、思わずガッツポーズが出ました。いや〜、美人がガチで踊ってるのってそれだけですばらしいですよね。

あとはPVかってほど、ユージン・ハッツの魅力全開でまいりました。なにあのオーラ。ブローティガンの『ビッグ・サーの南軍将軍』を映像化することがあったら、リー・メロン役はこのひとにやってほしいです。(最高のほめことば)オッス、鰐ちゃん!



映画としてはすごく荒けずりだけど、それもあってかがむしゃらなパワーを感じました。そのくせ妙にディテールで光る部分があったりで、不思議な魅力がある。全体にユーモア、カルチャー、性、民族のソースがたっぷりかかっていたのもよかった。SMに開眼する夫婦のくだりとか、ベタだけどげらげら笑っちゃった。

トップスターのマドンナが「覚悟をきめて飛んじゃえよ」「その線、超えてこいよ」と誘惑してくれるのは、なんだかとても勇気のわくことでした。マドンナすごいぜー。


★★★★★