映画テン年代ベストテン

washburn1975.hatenablog.com


id:washburn1975さん主催の企画に参加させていただきました。
基本的には、毎年年末に選んでいるマイベストの総ざらい的なラインナップに。
順位をつけるのは難しすぎるので、順不同で。


2012 『桐島、部活やめるってよ』 (吉田大八監督)

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2016 『シング・ストリート 未来へのうた』 (ジョン・カーニー監督)

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2019 『スパイダーマン:スパイダーバース』 (ボブ・ペルシケッティ / ピーター・ラムジー / ロドニー・ロスマン監督)

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ウワー!大好きな映画ばっかりだ!!!(あたりまえか)
全部DVD持ってるし、大好きな監督ばかりだし、
どれもなんらかの感情からはなはだしく涙してしまった作品です。
振り返ってみると、個人的には2011年2016年2017年あたりが激戦でした。

横綱すぎて入れなかった『ソーシャル・ネットワーク』
あと一歩でベスト10入りだった『オデッセイ』
個人的な思い入れが強い『her / 世界でひとつの彼女』『20センチュリー・ウーマン』『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』
邦画なら、『永い言い訳』『この世界の片隅に』
タランティーノウェス・アンダーソンスピルバーグ!ごめんなー!

CLIMAX

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鮮烈に、堕ちる
鬼才ギャスパー・ノエ最新作
すべての感覚を支配する狂乱とカオスの97分間

監督・脚本・編集:ギャスパー・ノエ
撮影監督:ブノワ・デビエ
編集:ドゥニ・ベドロウ
プロダクションデザイン:ジャン・ラバッセ
衣装:フレッド・カンビエ
振付:ニーナ・マクニーリー


ダンス大好きなので観たい!けどなんだか途方もなくグロそう……
とずっと二の足を踏んでいましたが、
ここのところ体調が極悪で、「極悪には極悪をぶつけて相殺!
あとは野となれ山となれ~」という気持ちでドーンと観てきました。

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ジョン・ウィック:パラベラム

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世界はおまえを許さない
伝説の殺し屋は、復讐の果てに逃亡者となる
ノンストップ・キリングアクションは、いま驚異の進化を遂げた!

原題:JOHN WICK:CHAPTER3 PARABELLUM
監督:チャド・スタエルスキ
脚本・キャラクター原案:デレク・コルスタッド
脚本:シェイ・ハッテン、クリス・コリンズ、マーク・エイブラムス
撮影監督:ダン・ローストセン
編集:エヴァン・シフ
プロダクションデザイナー:ケヴィン・カヴァナー
衣装デザイナー:ルカ・モスカ
音楽:タイラー・ベイツ、ジョエル・J・リチャード


毎回アクションが更新される、おれたちのキアヌによる
信頼できるシリーズですが、今作は今までの中でも一番好き!
筋と代償と犬が尊ばれる世界 最高!!


毎回新たな「~・フー」アクションを生み出し
観客を魅了してくれるジョン・ウィックですが、
今作はとくに前半の「~・フー」飽和状態がものすごくて、
しかも一つ一つが大大大好き!
NY公共図書館の本!ナイフ手裏剣!漆黒の馬蹴り!


とりわけ、言わずもがなの「Dog Fu」!!!
ハル・ベリーと犬たちのコンビネーションには、
今年一の興奮をいただきました。
これで何杯でもお酒が呑めます!ありがとうございます!
アクションでこんなに感動したのは初めてかも……。
うつくしすぎる犬たちの躍動に号泣してしまいました。


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私的「犬がアツイ映画」ベストを更新したかもしれない……。



後半は正統派アクションになっていくので、
玄人ほど楽しめるんだろうなーと思いつつも、
さすがにショットガンリロードには血湧き肉踊りました。
かっこいーーー!うつくしいーーー!
ほんとトムちんとキアヌのアクションへの情熱はどうかしてると思います。
陰陽が逆なだけで、最高にして最狂のベクトルは同じなのかもしれない。


★★★★

蜜蜂と遠雷

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私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?
生命と魂を懸け、ピアノコンクールに
挑んだ天才たちの 情熱と修羅の物語

監督・脚本・編集:石川慶
ピアノ演奏:河村尚子、福間洸太朗、金子三勇士、藤田真央
春と修羅」作曲:藤倉大
オーケストラ演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
原作:恩田陸


「あの『愚行録』の石川慶監督が『蜜蜂と遠雷』!?︎」
とずっと楽しみにしていた作品。

たぶん誰がどんな作品を撮っても、
原作ファン全員を納得させることは不可能で、
かつ原作者から「前後編禁止」「3時間は長い」という制約付き。
その中で、原作から抽出するエッセンスを大胆かつシンプルに絞った、
すこぶる映画的な、大変勇気のあるアレンジに舌を巻きました。

「無上の音楽」を「読者」の耳に鳴らすことに成功してしまった原作を
映画化するには、「実際の音楽と映像で観客を徹底的に圧倒すること」と
「それが四者四様であること」が絶対命題であり、
そこに力点を置いて資源を集中しているのは
ほんとうにすごいことだと思います。
演奏シーンのすばらしさに、ただただピアノすごい!と
感動してしまいました。


好きなものへの純粋で真摯な向き合い方と、
それが自然にお互いを救うさわやかさに満ちた映画で、
とても満足したのですが、惜しむらくは高島明石の扱いかな、と。

おそらくは原作未読の観客のために、
四人の構図をわかりやすく映画的にした結果、
明石については天才たちの覚醒のトリガー程度の位置づけで、
敗北が強調される形になってしまった。
「生活者の音楽は、音楽だけを生業とする者に劣るのだろうか」
という問いかけだけで泣けてしまうような、
おれたちの代表・高島明石。
映画は栄伝亜夜の物語になっているけれど、
原作は、まちがいなく高島明石の物語でもあるので、
すこしさみしい気はしました。*1


石川監督は、黒沢清監督に似た資質があると思うので、
天才への「畏怖」や「異物感」の気配が感じられたのも良かったです。
ホラー撮ってほしい。
石川慶監督をこれからも追うべき監督だと確信できたのが、
一番うれしいです。


★★★★

*1:でも、原作未読の方で「『春と修羅』は高島明石の演奏が一番好きでした」という感想をいくつか見かけたので、ここまで意図しての決断なのかな、という気もする

ジョーカー

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本当の悪は笑顔の中にある
笑いの仮面をかぶれ
DCコミックのキャラクターに基づく
2019年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞

原題:JOKER
監督・製作・共同脚本:トッド・フィリップス
共同脚本:スコット・シルバー
製作:ブラッドリー・クーパーエマ、・ティリンジャー・コスコフ
撮影:ローレンス・シャー
美術:マーク・フリードバーグ
編集:ジェフ・グロス
衣装:マーク・ブリッジス
音楽:ヒルドゥル・グーナドッティル


危惧していたとおり過ぎる映画。
ホアキン・フェニックスはチャーミングでうつくしく、
ゴッサム・シティは現実で、
アンビバレントな想いに心を引き裂かれる映画。


大変に良くできた映画だと思うし、世評の高さにも納得だけど、
個人的に好きか嫌いかで言ったら、嫌いがやや勝る。
『ジョーカー』の下敷きになっている、
『キング・オブ・コメディ』も『タクシー・ドライバー』も
名作とは思うけれど、大好きな映画というわけではないので、
もう好みの問題だと思う。*1


とはいえ、まずはホアキン・フェニックスがすばらしかった。
あの画面支配力。あのダンスの求心力。
小児科病棟で拳銃を落としてしまったあとの、一拍おいての「シー」。


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そして映画自体も中盤までは乗れたのだけれど……。

*1:しかし、パプキンやトラヴィスには親しみが感じられるのに、アーサーには言語化できない違和感を感じる……。その理由をずっと考えててずっとモヤってます。自己憐憫とか自発的な思考力とかそのへんかな、と思っています。

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アイネクライネナハトムジーク

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あの時、あの場所で
出会ったのが君で
本当に良かった。
”出会いがない”という全ての人へ
10年の時を越えてつながる<恋>と<出会い>の物語

監督:今泉力哉
脚本:鈴木謙一
音楽:斉藤和義
原作:伊坂幸太郎


原作未読ですが、伊坂幸太郎らしい伏線回収群像劇。
お互い気づいていないけれど、見えない糸でつながっている
人生への希望を感じられる良作です。
奇しくも多部ちゃんが結婚する映画。
サンドウィッチマンの使い方!w


この映画、今泉力哉監督の新作と思って
打ちに行かないほうが楽しめたような気が……。
伊坂幸太郎原作力のせいか、過去作と比べて
今泉監督節はやや弱め。
そのぶんオープンで大衆性が高い印象。
群像劇大好きだし、良い映画だったし、
すごくヒットしてもいいような気もするのですが、
正直「今泉作品を観た!」という満足感は薄かったです。
言葉では言い表せないような感情の動きを映しとってみせる手腕が
大量の登場人物と伏線に消されてしまっているのが、もったいない。

ただ、原作をうまく活かして、
監督お得意の「定義できない関係性」描写が、
世代や性別に係らない、より広がりのあるものに
なっているのは感じられました。


以下雑記。
 ・序盤のミスリードはうまくないなと思いました
 ・あの役は肉まんくんだからギリ許せる
 ・今泉監督は夜と女子をきれいに撮る人だな
 ・三浦春馬の激走、運動神経の良さがにじみ出すぎていて、感動が削がれるw

★★★

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

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ラスト13分。タランティーノがハリウッドの闇に奇跡を起こす。

原題:ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD
監督・脚本・製作:クエンティン・タランティーノ
撮影監督:ロバート・リチャードソン
編集:フレッド・ラスキン
プロダクションデザイナー:バーバラ・リング
コスチュームデザイナー:アリアンヌ・フィリップス


なんというぜいたくな時間……!
ほんとうに色々な意味で夢のような映画でした。
いつも以上にタランティーノの愛と思い入れを感じて、
まるで隣に彼が座っているかのようだった。
タランティーノの墓守歌&バチェラー・パーティー
地元ハリウッドと映画史へのラブレター
筋金入りの映画狂ならではの、愛とやさしい嘘にあふれたおとぎ話。


まず、ディカプリオ&ブラピのバディものとしての、
尺の大盤振る舞いに拍手。
ディカプリオが姫で、ブラピ(&忠犬!)が騎士(&白馬?)。
さすがタランティーノのおとぎ話は一味も二味もちがう。
ブラピがやおら脱ぎだした瞬間には、脳内タラちゃんが
ミサトさんの声色で「サービスサービスゥ♪」って言ってきて死んだ。
あの二人の視線の絡ませ方、ブラピの助手席に手を置いての車バック、
タラちゃん レオになってブラピに抱かれたいんだな……って思いました。

そして、もう一人の姫。
マーゴット・ロビーが演じるシャロン・テートもすばらしい。
劇場で観客の反応を満喫しながら、自身の出演作を楽しむシャロン
そのコロンブスの卵的アイデア自体に感動したし、
シーンそのものもあたたかな多幸感にあふれている。
その後の彼女の現実の運命を思うとなおさら胸がつまって、号泣してしまった。
このシーンにはまちがいなく魔法がかかっているし、
この映画全体のトーンを決定づけていると思う。
出色の出来。
パンフレットには、マーゴットの「ずっとタランティーノの映画に出たかったけれど、
力不足で連絡できなかった。『アイ,トーニャ』でようやく自信が持てて、
手紙を書いた」というインタビューが載っており、これも激エモ。


あとは、今までになかった、タランティーノの目線が感じられたのも、
感慨深くてぐっときました。
たぶん、まちがいなく、親になるひとの目線。
これまで女性への目線がことごとく「強い女性への憧憬」で、
それが最高だったタラちゃん。
今作はシャロンや子役のトルディはもちろん、
マンソン・ファミリー*1へすら、
庇護対象を心配に見守るような「親心」が感じられる。
女の子生まれる気満々じゃないの?*2


ラストの乱痴気騒ぎは、タランティーノホモソーシャルな仲間への愛を込めて
バチェラー・パーティーを繰り広げているようで、
とたんにブラピがイーライ・ロスエドガー・ライトに見えてきて、また泣ける。
そりゃ最高の男(たち)との別れには、2~3人殺さないと格好がつかないよな。
ラストの甘い幻のような展開は、もはや三途の川描写に近く、
タランティーノの願望がほのかに表れているようで…、醒めない余韻。


★★★★★

*1:プッシーキャット

*2:ジュリア・バターズちゃんみたいな娘 ほしいんだろうなー!