ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

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原題:ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD
監督・脚本・製作:クエンティン・タランティーノ
撮影監督:ロバート・リチャードソン
編集:フレッド・ラスキン
プロダクションデザイナー:バーバラ・リング
コスチュームデザイナー:アリアンヌ・フィリップス


なんというぜいたくな時間……!
ほんとうに色々な意味で夢のような映画でした。
いつも以上にタランティーノの愛と思い入れを感じて、
まるで隣に彼が座っているかのようだった。
タランティーノの墓守歌&バチェラー・パーティー
地元ハリウッドと映画史へのラブレター
筋金入りの映画狂ならではの、愛とやさしい嘘にあふれたおとぎ話。


まず、ディカプリオ&ブラピのバディものとしての、
尺の大盤振る舞いに拍手。
ディカプリオが姫で、ブラピ(&忠犬!)が騎士(&白馬?)。
さすがタランティーノのおとぎ話は一味も二味もちがう。
ブラピがやおら脱ぎだした瞬間には、脳内タラちゃんが
ミサトさんの声色で「サービスサービスゥ♪」って言ってきて死んだ。
あの二人の視線の絡ませ方、ブラピの助手席に手を置いての車バック、
タラちゃん レオになってブラピに抱かれたいんだな……って思いました。

そして、もう一人の姫。
マーゴット・ロビーが演じるシャロン・テートもすばらしい。
劇場で観客の反応を満喫しながら、自身の出演作を楽しむシャロン
そのコロンブスの卵的アイデア自体に感動したし、
シーンそのものもあたたかな多幸感にあふれている。
その後の彼女の現実の運命を思うとなおさら胸がつまって、号泣してしまった。
このシーンにはまちがいなく魔法がかかっているし、
この映画全体のトーンを決定づけていると思う。
出色の出来。
パンフレットには、マーゴットの「ずっとタランティーノの映画に出たかったけれど、
力不足で連絡できなかった。『アイ,トーニャ』でようやく自信が持てて、
手紙を書いた」というインタビューが載っており、これも激エモ。


あとは、今までになかった、タランティーノの目線が感じられたのも、
感慨深くてぐっときました。
たぶん、まちがいなく、親になるひとの目線。
これまで女性への目線がことごとく「強い女性への憧憬」で、
それが最高だったタラちゃん。
今作はシャロンや子役のトルディはもちろん、
マンソン・ファミリー*1へすら、
庇護対象を心配に見守るような「親心」が感じられる。
女の子生まれる気満々じゃないの?*2


ラストの乱痴気騒ぎは、タランティーノホモソーシャルな仲間への愛を込めて
バチェラー・パーティーを繰り広げているようで、
とたんにブラピがイーライ・ロスエドガー・ライトに見えてきて、また泣ける。
そりゃ最高の男(たち)との別れには、2~3人殺さないと格好がつかないよな。
ラストの甘い幻のような展開は、もはや三途の川描写に近く、
タランティーノの願望がほのかに表れているようで…、醒めない余韻。


★★★★★

*1:プッシーキャット

*2:ジュリア・バターズちゃんみたいな娘 ほしいんだろうなー!

サスペリア

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その踊りは、死を招く。
1977年、ベルリン。
アメリカからやってきた少女が、名門バレエ・カンパニーの門戸を叩いた。
そこには―。

監督:ルカ・グァダニーノ
撮影監督:サヨムプー・ムックディプローム
衣装:デザインジュリア・ピエルサンティ
コレオグラファー:ダミアン・ジャレ
音楽:トム・ヨーク


ダンス大好きなわたしとホラー大好きな夫の折衷案で、
結婚記念日に観ました。
わたしのみオリジナル未見。

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工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男

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誰も知らなかった南と北の裏の裏の裏
北に潜入した工作員の見た祖国の闇には、
驚愕の真実が隠されていた―

英題:THE SPY GONE NORTH
監督・脚本:ユン・ジョンビン
脚本:クォン・ソンフィ
撮影:チェ・チャンミン
編集:キム・サンボム、キム・ジェボム
美術:パク・イルヒョン
衣装:チェ・ギョンファ
音楽:チョ・ヨンウク


『悪いやつら』『群盗』のユン・ジョンビン監督作で、ファン・ジョンミン主演
ということで、ウォッチリストには入れていたのですが、
信頼できる友の激推しで、優先順位トップへ。

めっっっちゃおもしろかった!!!
政治サスペンスとしても、 働きマンドラマとしても、
ブロマンスとしても、熱い「浩然の気」*1が満ち満ちている!
信念を分かち合った 最高の両想い!

北への潜入というだけでも、ハラハラドキドキなのに、
なにせあの将軍様にプレゼンを通す、という
スパイでなくてもちびりそうなミッション。
そのミッションに共に立ち向かい、
ひいてはもっと大きな志のために立ち上がる2人に
拳を握らずにはいられない。


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ファン・ジョンミン大ファンで、すばらしい演技だったけれど、
今作はとにかくイ・ソンミン a.k.a. リ所長にKOされてしまった。
あの魅力を言葉で表すのは難しいのだけれど、
熱いものを秘めつつも、含羞のひと、といったたたずまいがたまらない。
あのずっと見ていたくなる魅力は何なのか?
なにか激しく琴線に触れるものがある。
「冒険しませんか?」という最高の文句で口説きたくなるのもわかる。

ヘウォンメクことジフニも変にかわいい見せ場が多くて、
思わず笑ってしまった。
いつメンとボックス席に座る姿、謎のダンス、
おだてられてまんざらでもない顔、
将軍様の前でのドボンの際の喉仏。
また軍服の着こなしがすさまじいのよなー。

食事や飲酒のシーンも豊富で最高。
高級ホテルでの会合や金正日への謁見など、
ていねいな描写を積み重ねてきた末に投下される
リ所長宅飲みの破壊力!
熱い涙がほとばしり出ました。


★★★★★

*1:孟子の説いた説。人間の内部より発する気で,正しく養い育てていけば天地の間に満ちるものとされる。また,道義が伴わないとしぼむとされ,道徳的意味を強くもつ概念である。道徳的活力。 らしい

ある女流作家の罪と罰

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原題:CAN YOU EVER FORGIVE ME?
監督:マリエル・ヘラー
撮影:ブランドン・トゥロスト
編集:アン・マッケイブ
音楽:ネイト・ヘラー
原作:リー・イスラエル
Based on a True Story.


この作品がDVDスルーとは……。
個人的にはしみじみ好きな映画です。

まず、著名人の手紙の捏造、という犯罪。
わたしも犯罪に手を染めるとしたら、
これは楽しそうだと思ってしまった。
そのひとになりきって、ある意味そのひと以上に
個性が出た手紙を書く、というのは
一種の創作行為ではあり、やはり才能が必要だろう。
オリジナルの便箋を発注したり、
紙を焼いて劣化させたりする作業も楽しい。

それゆえ、後半、この行為がどんどんエスカレートし、
最終的にただの精巧な複製に堕ちる時の哀しさには、
自分でもハッとするほど胸が痛くなる。
もともと犯罪なんだけれど、矜持をうしなった瞬間の
自分への裏切りが一番の罰であるように
描かれていたように思う。

偏屈で高慢で不潔。
現実の知り合いなら敬遠してしまうような、
欠点だらけのアウトローをチャーミングに
描いているところも映画らしくて好き。

性的マイノリティ同士の老いらくの友情は
妙にまぶしくさわやかで、
うまくいっているときの無敵感と
それでも必ず終わりがくる夏休み感は、
やはり一種の青春映画だと言えるような気がする。
そのモラトリアムの終わりのあとの余韻にもぐっとくる。

NYのたくさんの本屋/図書館/バーが、
入れ替わり立ち替わりでてくるだけで、
本当にわくわくするので、
DVDで持っておきたい作品。

原題『Can you ever forgive me?』の
ウィットが示す通りの映画なので、
邦題もその雰囲気を汲んでほしかったな。


★★★★

トイ・ストーリー4

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あなたはまだ―
本当の『トイ・ストーリー』を知らない。

原題:TOY STORY 4
監督:ジョシュ・クーリー
脚本:ステファニー・フォルソム
脚本・製作総指揮:アンドリュー・スタントン
撮影監督:パトリック・リン、ジャン=クロード・カラーチェ
編集:アクセル・ゲッデス
プロダクションデザイナー:ボブ・ポーリー
音楽:ランディ・ニューマン


だいすきないつメンとクリスチアノ前に。

わたしは、1996年公開の『トイ・ストーリー』が全くハマらず、
以来2も、大傑作の呼び声高い3も、スルーしてきました。

まず1でハマらなかったのは、ひとえにシドの扱いについて。
改造が悪として描かれているのを観て、
「おもちゃってそんな了見の狭いモノだっけ?」と。
のちに、実際に玩具業界に身を置くこととなり、
創造主はやはり完全にシド側の人間だと確信するのですが…
(それはまた別の話)。

今回みんなで4を観に行くことになって、
「よし!いい機会だから敬遠してきた2・3も観よう!」と一気観しました。
しかし、2ではコレクショントイが悪として描かれており、
3はさすがに評判通りの出来で、シリーズ中最も楽しめたものの、
やはり低年齢の遊び方が苦行として描かれており……。

つまり、1~3を通して、おもちゃの楽しみ方を大幅に制限しており、
玩具業界にいた身としては、なんて偏狭な遊び方の提示だろう…、と
すっかり悲しくなってしまったのです。


それでも、定例映画会のチョイスに「待った!」をかけなかったのは、
なんとなく、「1~3がひっくり返る」「アンチほど納得がいく」という評が
かすかに漏れ聞こえてきたから。


cinema.ne.jp


結果!4にしてはじめてハマれました!
わーいわーい!

今回やっと持ち主側にも寄り添ってくれたというか。
「失くしてしまったり手放してしまったりしたおもちゃたちも
こんな風にいきいきと暮らしているかも…」という
夢を見させてくれて、感無量です。

ただ、新キャラたち*1が異様に良かったりと、
今回楽しかった部分はほぼ1~3に無い部分だったので、
これはたしかに…、これまでのシリーズファンはどんなきもちなのか…と
若干心配にはなりました。
クレジットにもピート・ドクターにジョシュ・クーリー、と
だいすきな『インサイド・ヘッド』組が名を連ねているので
俺得ではあるものの、端的にジョン・ラセター派はどうなのかな…と。

とにもかくにも、自分的にはうれしい完結となりました。


★★★

*1:バニー&ダッキー a.k.a. ジョーダン・ピールキーガン=マイケル・キー!

ハッピー・デス・デイ 2U

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やっと抜けたと思ったのに、またハマっちゃったループ地獄。
今度は次元?!バック・トゥ・ザ・デス・デイ!
時を駆けるビッチがまた走るぅぅぅ!
ゲット・アウト』『パージ』のブラムハウスからまたプレゼント!
こんな続編観たことない!パラレルワールドでまさかの泣けるホラー降臨!

原題:HAPPY DEATH DAY 2U
監督:クリストファー・ランドン
製作:ジェイソン・ブラム


1が好きすぎて、おかわりがてら1・2通しで鑑賞してきました。
1が入ってくるのが2年も遅れたのは由々しき事態ではあるものの、
おかげで劇場で一気観できるのは、正直最高……!

今回は強くてニューゲームで、パラレルワールドで、BTTF!
のっけからユニバーサルロゴがスプリットし、ニヤニヤさせてくれます。
ジャンルはもはやSF青春コメディになっており、
「監督!あなた絶対に!ジョン・ヒューズ
大好きですね!(わたしもです!)」といった仕上がり。

以下ネタバレ

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ハッピー・デス・デイ

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誕生日に殺されるなんて… え?しかも何回も?!
プレゼントは永遠に繰り返す<殺される誕生日>
時を駆けるビッチに明日は来るのぉぉぉ?
ゲット・アウト』『パージ』『ヴィジット』のブラムハウスからのプレゼント!
全米で予想外のNo.1大ヒット 
イムループでまさかの笑えるホラー降臨!

原題:HAPPY DEATH DAY
監督:クリストファー・ランドン
脚本:スコット・ロブデル
製作:ジェイソン・ブラム


最高かよ~!!!
ホラー版『恋はデジャ・ブ』!
時をかけるビッチ!

なにしろ『恋はデジャ・ブ』が人生ベスト級に好きなので、
完全にわたし向き。
かつ1975年生まれの監督とはおそらくぐっとくるものが似ているんだろう。
のっけから、ユニバーサルロゴのループ、
バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ゼイリブ』のポスター、
Dumpstaphunkのラグラン、
"Busy Day Birthday"の着メロ、ときて、大当たりを確信。
そこからはずっと「やばい…すき…すき…」と目を輝かせ
ふるえながら観ていました。

以下がっつりネタバレ

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