マエストロ その音楽と愛と


原題:MAESTRO
監督・脚本:ブラッドリー・クーパー
脚本:ジョシュ・シンガー
撮影:マシュー・リバティーク
編集:ミシェル・テゾーロ
美術:ケビン・トンプソン
衣装:マーク・ブリッジス
特殊メイク:カズ・ヒロ
音楽:レナード・バーンスタイン


始まった瞬間からブラッドリー・クーパーの肩ブン回しが感じられ、「リッチでクラシックな映画観させてもらってるわ~」という気持ちになりました。ただ、あらゆる面で「自分とはかけ離れた世界」というよそよそしさがぬぐえず、序盤はわりと引き気味な鑑賞に。

ぐっと惹きこまれたのは中盤。『落下の解剖学』に引き続き「これは夫婦地獄モノだったのか!」という展開になり、キャリー・マリガンここにあり!という演技が堪能できる。どんなにビッグカップルであっても陳腐化してしまう夫婦の事情だが、はじめからフェリシアに覚悟があって彼女の方から説得したような形で結婚に至ったことで、とても複雑な感情が描かれぐっと地獄度が増す。最高です!(別に二人に不幸になってほしいわけじゃないんだけど。)

ただ、この地獄を突破するターニングポイントとなるのが、結局彼女が信じた彼の「音楽」と「才能」なので、感動はしつつもまたちょっと世界が離れていってしまった。
『TAR』を思い起こさせるような要素が多いのだけれど、バーンスタインにはTARほど入れ込めなかった、という感じ。レナード・バーンスタインの人生の喜怒哀楽、業と性を描き切ろうという熱意は感じたものの、個人的にはフェリシア周りの描写が一番おもしろかった。キャリー・マリガンには早くオスカー獲らせてほしい。

あと個人的には、天使マヤ・ホークを筆頭に子どもたちが奇跡的に良い子すぎて、「ふぅん…」となってしまった。たぶん本当に良い人たちなんだろう。
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★★★★