アメリカン・フィクション


第96回アカデミー脚色賞

原題:AMERICAN FICTION
監督・脚本:コード・ジェファーソン
撮影:クリスティナ・ダンラップ
編集:ヒルダ・ラスラ
美術:ジョナサン・グッゲンハイム
衣装:ルディ・マンス
音楽:ローラ・カープマン
原作:パーシバル・エベレット


センス良~~~。皮肉とユーモア、風刺とエンタメ、キャッチーなプロットといぶし銀のドラマ、などバランスがとても良く、かなり色々な要素が詰まっているのにすっきりまとまっていて観やすかった!扱っている問題の現代性、取り上げ方の鋭さ、メタ構造(オスカー受賞まで含めて)のキレとは裏腹に、ほっこりした仕上がりになっている不思議な作品。主人公モンクの皮肉屋ぶりに姉が「そういうとこ!」と怒りつつも思わず笑ってしまうシーンがあるのだけれど、全編を通してこういった絶妙なバランスが保たれていたと思う。ストーリーを練っていると眼前でドラマが始まる演出も楽しかった。

展開の中心となるのは、「自分の好きを仕事にするか?求められる仕事をするか?」というみんなが共感できる悩みとレイシャル・バイアスとの掛け合わせなのだけれど、終盤の描写などを見ても今後ますますアジア人のターンになっていくだろうな…という気がした。

ラストも気が利いていて「オッシャレ~!洒脱~!」となりました。
ただ個人的には、「どうしても劇場で観たかった!」とか「オスカー受賞作!」とか「すごく心に残る!」というタイプの作品ではなく、「愛すべき拾い物」枠の作品、という感触でした。


★★★