人のセックスを笑うな

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恋におちる。世界がかわる。
19歳のボクと39歳のユリのいかれた冬の物語。
人妻講師・ゆり(永作博美)←美大生・みるめ(松山ケンイチ)←同級生女子・えんちゃん(蒼井優)←同級生男子・堂本(忍成修吾)、というゴールデンスクエアのおはなし。

監督・脚本:井口奈己
脚本:永調有香
原作:山崎ナオコーラ


せつなかったり、おかしかったりな恋のおはなしです。原作では、えんちゃんや堂本はちょい役なんだけど、映画ではかなり重きを置かれていて、話が広がっててよかったです。4人とも「あ〜いそう!(こんなに美しくはないけどな)」っていうリアル感がみごとなキャスティングでした。

傍目から見ると「やめたほうがいいよ」と思う恋でも、当人は「わかっちゃいるけどどうにもならない」。「電話に出たくなっちゃう」「出たら会いたくなっちゃう」と携帯電話をワイヤーでぐるぐる巻きにするみるめ。酔いつぶれたみるめにキスしようとするけど、「ゆり」という寝言を聞いて、みるめの上を反復よことびするしかないえんちゃん。もうひとのこころがひしゃげるようすが「うぎゃー!」でした。

小悪魔な永作さんとじたばたする蒼井優は、正反対なようでいて、実はけっこうちゃんと似ているのがおもしろかったです。ふたりとも男っぽいし、正直だし、妙に達観してるかと思えば、こどもみたいな衝動がある。

印象的だったのは、ロングショットの多用と動かないカメラワーク。意味があるんだかないんだかわかんない画がえんえん続いたりするんだけど、そのおかげか、すきまがある映画になってて、よかったです。
音楽もよかったな。武田カオリさんが歌う「ANGEL」は外人が歌ってるかと思った。そんな風情がすてき。永作さんが鼻歌で何回か歌うので耳に残り、思わずiTMSで購入。エンディングはフィッシュマンズの「MY LIFE」カバー。

あとたべものが妙においしそうでした。おせんべいとかみかんとかクッキーとかやきとりとか信玄餅とか。あがた森魚信玄餅の食べかたを語るシーンがあるんだけど、すっごくおもしろかった。
なんかなつかしめのものが食べたくなって、帰りしな「しっとり濃密かりんとう」を買ってしまいました。


★★★