光をくれた人

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孤島に暮らす夫婦が、大切な人を守るために下した決断とは―
愛を貫こうとした彼らの姿に、心が震える感動の物語。

原題:THE LIGHT BETWEEN OCEANS
監督・脚本:デレク・シアンフランス
撮影:アダム・アーカポー
編集:ロン・パテイン / ジム・ヘルトン
衣装デザイン:エリン・ベナッチ
美術:カレン・マーフィ
音楽:アレクサンドル・デスプラ
原作:M・L・ステッドマン『The Light Between Oceans(海を照らす光)』


ママズクラブシアターでかかっていたので、同じく子連れの友だちと鑑賞。
あらすじを読んだ感じだと『八日目の蝉』を彷彿とさせるし、あの『ブルーバレンタイン』の監督だし、と号泣する気満々で行ったのですが、相当モヤって帰ってきました。劇場全体にもそんな空気が漂っていたような……。*1

この物語には3人の主要人物がいて、戦争で心に傷を負ったトム、流産・死産と孤島生活で心を病んだイザベル、そして夫と娘を失ったと思っているハナなんだけど、問題は一番感情移入しやすいのはハナというところで……。このひとは何も間違った決断はしていないし、本来負わなくてよい苦しみを背負わされてしまった人。それどころかうわべや因習に惑わされず、恵まれた環境を捨ててまで真の幸せをつかんだと思ったら、全てを失ってしまった人なのである。主役であるトムとイザベルの仮の幸せはこの人の苦しみの上に成り立っているわけで。

さらにそれぞれの葛藤や苦しみや愛のありようが描かれてもどうにも3人のバランスが悪い。イザベルにどうしてものれない。実際の世の中だってアンフェアなわけだし、幸不幸はポイント制じゃない。「罪を憎んでひとを憎まず」と自分に言い聞かせて、本作のテーマである「赦す」ということに向き合おうとしたけれど、やっぱり自分には赦せなかった。てか正直「ハナさん!あんたが怒らないならわたしが代わりにぶっこみますよ!」っつってイザベルに小一時間説教かましたいとすら思ってしまった。

モヤりすぎて後日原作も読みましたが、こちらの方が各人の性質やバックボーン、また周りの人々を丁寧に描きだしていて、沁みいる感動がある。しかしやはりイザベルにはのれなかった。結局それに尽きるかも。


★★

*1:少なくとも一緒に鑑賞した友だちはそうだった