ブルーバレンタイン

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永遠に変わらない愛なんて、ないの
煮詰まって溺死寸前のある夫婦の1日と、出会いから結婚までの日々をカットバックで描く。取り扱い要注意作品。

原題:BLUE VALENTINE
監督・脚本:デレク・シアンフランス
脚本:ジョーイ・カーティス / カミーユ・ドラヴィーニュ
撮影:アンドリー・パレーク
編集:ロン・パターネ / ジム・ヘルトン


各地で被弾したかたがたの声を聞いており、おっかなびっくり観にいきました。正直調子いいとは言えない状態のわたしでしたが、セーフ。。。凹んだりはしませんでした。イエー。
観客の立場や価値観によって、捉えかたがまったくちがうと思うし、いろんなひとの意見が聞きたくなる。これを肴に一晩飲み明かせますとも!改訂11年以上というだけあって、超よくできたスルメ作品で、観るたびに新しい発見や意見の変化がありそう。

鑑賞前、わたしは「若いふたりが勢いで結婚→現実とのギャップ→破綻」という流れで、夫婦のどちらかに反感もつだろうなーと予想。でもそんな一筋縄ではいかなかったこの作品。
まずはふたりともやさしさもずるさもあって、人間らしくてチャーミング。お互いにコンプレックスや負い目があって、それぞれの言い分に正論と詭弁がある。しかも最初からお互いの特性をわかって、強い決意の元に結婚しているわけで、たぶんバック・トゥ・ザ・フューチャーしてもやっぱり同じ結果になるのでは・・・と思うのです。

ただうまいことにこの作品は、空白の結婚生活とラスト以後を個々人の想像でどうとでも取れるので、ここでも激論が交わされそう。ふたりがどうなるか、はもちろんのこと、例えば娘のフランキーが今後どういう男を選ぶのか・・・なんてことすら相当気になる話題。

男女あるあるも秀逸。個人的には車内の口論のかんじとか男子が女子の涙を自分の都合のよいほうに曲解するかんじとか(笑)ぐっときました。

わたしの個人的な見方としては、ラストは崩壊というよりgoes on感を強く感じました。そもそも結婚ってこういうことのくり返しじゃないの?と思っていたから。あとは決定的な崩壊には至っていないと思われる希望的観測をもてる描写が散見されたから。
ラストのあの花火はしあわせな日々が粉々に飛び散っているっていう見方もできるけど、あのころの記憶がこころを温めて、また現実と向き合って第2ラウンドって見方もあると思う。

恋愛が歩み寄りと前進で支えられるのに対して、結婚は平行線と維持で支えられる。という完全に分が悪い状況で、それでもいっしょにいることを選ぶだけのピースは示されていたと思います。もちろんその逆も。コワ!



★★★★★