ラッキー

f:id:tally:20181222150640j:plain


“孤独”と“一人”は、同じじゃない。
90歳の気難しい現実主義者が人生の終盤で悟る、「死とはなにか」
パリ、テキサス』の名優ハリー・ディーン・スタントン、最後の主演作。

原題:LUCKY
監督:ジョン・キャロル・リンチ
脚本・製作:ローガン・スパークス / ドラゴ・スモーニャ
撮影監督:ティム・サーステッド
編集:スロボダン・ガジック
美術監督:アルミトラ・コーリー


『パターソン』のシニア版といううわさを聞いて、ちょっと無理して観に行ってきました。

なるほど、チャーミングで愛らしい小品。ハリー・ディーン・スタントンのたたずまいを堪能できるぜいたく。マリアッチ「ボルベール、ボルベール」とデヴィッド・リンチ使いはずるすぎる。

なじみのダイナーとバー。アメスピ一箱。一杯の牛乳とブラッディ・マリア。煩悩まみれな自分が恥ずかしくなるし、もっとシンプルに生きたいと思う。それでいて、医者に「あなたは止める方が体に悪そうだから」と悪癖をこっそり許してもらいたい。だがしかし、まだまだこの境地には至れない。まだまだやることがある……。と謎に帰り道BAD HOPを聴いて闘志を奮い立たせたり。

惜しむらくは、ちょっとせりふに頼りすぎているところがあって、もっと余白があってもいいのになァ、と。愛した人はスペイン語を話したのだろうか、とにおわせるくらいの上品なやり方が良かったので、「死」や「人生」について声高に話さなくとも、テーマは十分伝わったんじゃないかなぁと思います。


★★★