毎日が、新しい。
妻にキスし、バスを走らせ、愛犬と散歩する、いつもと変わらない日々。
それは美しさと愛しさに溢れた、かけがえのない物語。
原題:PATERSON
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
撮影監督:フレデリック・エルムズ
編集:アフォンソ・ゴンサウヴェス
美術:マーク・フリードバーグ
衣装:キャサリン・ジョージ
音楽:SQURL
詩:ロン・パジェット
これを観なけりゃ2017年が終わらないっての、ということでアップリンクへ。いやー、しみじみよかった……!
ほんとうに日々の淡いをすくいとるのが上手い監督だなぁと。ふつうに生活していれば「単調」でうんざりしかねない労働者の生活が、こんなにもフレッシュで輝いてみえるとは。市井の詩作者との思いもよらない交流や配偶者に話しても伝わらないようなバーでの珍妙な事件。
そして暗闇をはらう天啓のような瞬間。わたしは、そのひとなりの時間と情熱を捧げたものからは、必ずなにかしらの見返り・恩恵を授かっている、と思っているので、あの描写はうれしかったなぁ。詩の神様が手を差し伸べてくれたような瞬間。それは自分だけのもの。
一日一日の無限の可能性や人生の豊かさを感じられる点で、だいすきな『恋はデジャ・ブ』を思い出したりもするんだけど、
『パターソン』は不穏なところがちがって、これもまたいいなと。
安定と不穏が、理解と無理解が、しあわせとふしあわせが、地続きになっているような、夫婦生活の描写がたまらなく良かったです。
アップリンクで観れたことも、『ムーンライズ・キングダム』カップルの起用も、メスも、最後の゛Dedicated to Nellie"も、完璧。というわけで2017年のランキングに組み込みます。
★★★★★