オン・ザ・ロック

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原題:ON THE ROCK
監督・脚本:ソフィア・コッポラ


ソフィア・コッポラはすごく思い入れがある監督だし、ビル・マーレイラシダ・ジョーンズも大好きな俳優だし、あいかわらずお洒落なルックの映画だけど、それをもってしても正直「気持ち悪い」という感情がわいてしまった…。

山崎まどかさんの解説も読んだんだけどさー!
www.cinra.net


アラフォーにもなってなお、手を引いてくれる男性を探し続けている感じがつらい。
『somewhere』の感想にも書いたけど、毎度ソフィア・コッポラが漂わせつづける「よるべなさ」と「庇護者探し」が、少女をヒロインに据えていてさえも、監督自身がうっすら透けて見えるようで若干ウッときたのに。

主人公の人格透明感、二人の娘の書き割り感に、ママ友見下し感、男女論など、監督本人のプライベートを鑑みても、背筋が寒くなってくる。

まず主人公がどういう人なのかよくわからない。なにが好きでなにを大事にしていてなにをやりたいのか???あの生活ならおしゃれも仕事もやりたいならできる。なんかふんわりできないって感じになってたけど、深夜の張り込みが可能なんだよ?しないのかできないのかやりたくないのか、すべてが記号的で謎。

娘たちはただただ天使のように描かれていたけれど、あんなに急にひんぱんにベビーシッターに預けられるようになったら不安定になるし、親や祖父の会話や雰囲気だってわかるし察するよ!ママ友の話全然聞いてないのも絶対バレてるし、あのママ友は能動的に生きてるだけ主人公より生産性あるよ…。
鑑賞後、思わずwikiで調べてしまったけれど、
監督自身も姉妹の母なのが本当にこわいと思いました。

そして、最悪なのが父離れのしかた。
そもそもなぜ毎度父についていってしまうのかもわからなかったけれど、夫の浮気が白とわかったとたん、積年の怒りをぶちまけるのは責任転嫁がすぎる。父離れを宣言するなら、夫の浮気の白黒が判明する前にやってくれないとずるい。

そして夫とのこれから(冒険!)も不安……。
わたしなら浮気を疑って異性親といっしょに乗り込んできた時点で、百年の恋も冷めるよ…。「きみも一人の時間をつくったほうがいいよ」と言いながら何もせず、リビングで「パパを寝かせてくれよー」と言いながら子ども見てる夫の描写もうんざりだし、そんな夫からもらう カルティエのタンク is プライスレス……!(ホラーなら秀逸なラスト!)
娘を父から夫へ譲渡完了!というふうにしか観れなくて、もう価値観が古いしダサい……。(お洒落な画とのギャップがなおさらつらい)

ソフィア・コッポラ、わるい意味でウディ・アレン化していかないか、ちょっと心配になってしまった。


★★