12歳、サムとスージーの“駆け落ち”が みんなに魔法をかけました。
周りにうまくなじめない12歳のサムとスージーがBoy meets Girl!1960年代の米東海岸ニューイングランド島を舞台に、2人の駆け落ち騒動を描く。
原題:MOONRISE KINGDOM
監督・脚本・製作:ウェス・アンダーソン
脚本:ロマン・コッポラ
撮影:ロバート・D・イェーマン
編集:アンドリュー・ワイスブラム
音楽:アレクサンドル・デスプラ
まず最初に思ったのは、今までのウェス・アンダーソンとは一味ちがうな、というところ。「父性との確執」「ピーターパン・シンドローム的なおとな」という今までくり返し描かれてきたテーマが、ツイストした形で変奏されていると感じました。
早くおとなになりたいと急ぐ子どもたちの、ピュアさと隣り合わせの野蛮さ・凶暴性を描くことで、対するおとなたちの抱える荷物や煮え切らなさが浮き立つ。子どもの一途な蛮勇もキラキラとまぶしいけれど、ヘタレの中年ブルース・ウィリスが見せる本気こそとてつもなくぐっとくるじゃないか!ついついホロリときてしまいました。
子どもを主人公に置くことで、逆にウェスのフィルモグラフィーの中では、スパイシーで大人っぽい作品に仕上がっていると思いました。ラストに向けて、坂道を転がるような大団円もよかった。ウェスっぽくないバランスでおもしろかったです。共同脚本にロマン・コッポラというのも効いているのかも。
とはいえ、フリークスやアウトキャストに寄り添う視線や「疑似家族」「家族の再生」というモチーフ、ほとんど神経症的な、すさまじい凝り方のビジュアル造形など、ウェス印もしっかり光ってました。
この記事おもしろかった。
- 野村訓市的ウェス・アンダーソン
こまかすぎてくらくらするぜぇ〜
こまごまとつくり込まれた箱庭感、秘密基地感は、やっぱり観ていてたのしいし、童心をくすぐられるものすなー。
★★★