ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!


原題:TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES: MUTANT MAYHEM
監督:ジェフ・ロウ
共同監督:カイラー・スピアーズ
脚本:セス・ローゲンエバン・ゴールドバーグ、ジェフ・ロウ、ダン・ヘルナンデス、ベンジー・サミット
音楽:トレント・レズナー、アティカス・ロス


テレ東版至上主義者ですので、タートルズといえば脱力と悪ふざけのイメージなのですが……。(ちなみにミケランジェロはおそらく最古の推しです!!!)それはおいといて!

なんというHIPHOPとの親和性の高さ!まず、グラフィティを思わせるような落書き風アニメーションと、かかりまくる大ネタ(M.O.P.!No Diggity!ODB!)。色彩はどことなくA Tribe Called Questのアートワークが、タートルズのキャラはどことなくDE LA SOULのメンタリティが思い浮かんだり。『スパイダーバース』シリーズと同じくマジで好きな要素しかないやつ!

そこにティーンエイジ要素ががっちりかみ合い、ミュータント差別、二人の父の対比や家父長制の打破も描き、なおかつスプリンターはジャッキー・チェン、スーパーフライはICE CUBEが演じ(レイ・フィレットはPost Malone!)、BTS "Butter"使いも抜かりないという。四方八方に気が利きすぎて可愛げないよ!と思うほど。

ただ、無性にさみしくなってしまったのは、この世界では「誰かの役に立つ」ことをしなければ認めてもらえないんだな、ということ。なんとなく『泣いた赤鬼』的にスーパーフライを利用して人間世界に受け容れてもらったように見えなくもなく、スーパーフライが気の毒になってしまった。ティーン向けにはこれくらいポップで良いのかな?と思う反面、タートルズやエイプリルにはもう少し他者の評価から離れた自己肯定感があってほしかったな、と思いました。他人に求められた役割を演じなくていいし、ARMYであるドナテロは"We don’t need permission to dance"だとわかっているはずだよ!


★★★★