スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース


運命なんてブッつぶせ。

原題:SPIDER-MAN: ACROSS THE SPIDER-VERSE (PART ONE)
監督:ホアキンドス・サントス、ケンプ・パワーズジャスティン・K・トンプソン
脚本:フィル・ロードクリストファー・ミラー、デビッド・キャラハム
音楽:ダニエル・ペンバートン


このシリーズに関しては実はあまり言うことがない。なぜなら最高だから。前作と全く同じ感想になってしまうのですが、「マジで好きな要素しかないな……」と感動してしまいました。観ている間じゅう、ずっと最高がつづき、さらに先があるしあわせ。2024まで生きる…!

まずは誰しもが圧倒される映像表現。もはや映画館にいるのか美術館にいるのかわからなくなる。ポップカルチャーとモダンアートの洪水。ずっと楽しくてかっこよくて新しい、アイキャンディな快楽。クリエイターたちの喜びと魂を感じられて、そこに中年垂涎のヒップホップが乗っていて(帝王Rakim!)、気持ち良すぎ!Wooooooo!

あらゆるアイデアが詰め込まれた無数のスパイディたち。みんな軽口たたいていてかわいい。ミゲルはマイルスを異端分子だと言うけれど、当のミゲルが一番スパイダーマンらしくないのがおもしろい。マイルスとグウェンの関係性も複雑で切なくてすごく良い。

このシーン最高かーーーーーーー!

ストーリーも一連のMCU作品から『NWH』で極まった「孤独と喪失と自己犠牲なくしてはヒーロー(とくにスパイダーマン)たり得ないのか」という疑問や、『ザ・フラッシュ』におけるスパゲッティ交差点(不可避のクロスオーバー/カノンイベント)問題に真っ向から立ち向かおうとしていてふるえた。現代の子どもたちは物分かりが良くて、失敗をおそれながら、色々なことを受容して生きているような気がする。でも、本来親が子に贈ってあげるべき言葉は「運命を受け入れろ」ということ以上に、マイルスのママの "Wherever you go from here, you have to promise to take care of that little boy for me. "なんですよね。a.k.a. "LOVE YOURSELF" (by BTS)!!!

「親愛なる隣人」で若いヒーローだからこそ、まずは一番身近な愛する人を救うために行動するの、是が非でも応援したい。(『ザ・フラッシュ』良かったけど、ちょっとは「やっぱりママ死なないとアカンか?」とは思ってしまったんだよね。)スパイダー・ソサエティの「正しさ」の圧にちゃんと「NO」と言えるのすばらしい。そして、きちんとスクリーン上にもマイルスを助けるためのチームが誕生する。

単体で完結していないという批判も見かけるけれど、これはグウェンが自分のバンドを結成する話だからいいんだよ!フィル・ロードクリストファー・ミラーなら『ビヨンド~』も絶対にポジティブな物語にしてくれると信じて待っています!


★★★★★