SUPER HAPPY FOREVER


どこか、また、海の彼方で
この偶然は、永遠

監督・脚本・編集:五十嵐耕平
脚本: 久保寺晃一
企画協力:宮田佳典、佐野弘樹
撮影:髙橋航
編集:大川景子、ダミアン・マニベル
助監督:太田達成
美術:布部雅人
衣装:淺井健登
ヘアメイク:光岡真理奈
音楽:櫻木大悟


今年の邦画、傑作多すぎ問題!
リゾートで今はいない大切な人の思い出を拾い集めていく構成は『aftersun』、恋が始まる奇跡のような一日を描いている点は『ビフォア~』シリーズなどを想起させる。
おそらくこの作品は2回目以降の鑑賞の方がぐっとくる。現在を知った上で5年前の彼らを振り返るにつけ、死なんて他人事で、「5年後の未来なんてまったく想像していなかった」であろうその時のきらめきやかけがえのなさが余計に胸に迫ってくる。

冒頭の宮田による鴨長明『方丈記』の引用は、寄せては返す波のようにこの作品全体に漂いつづける。今は亡き凪はよく物を忘れ失くす*1。ホテルは閉館し、携帯は海に投げられ、指輪は捨てられ、時間は無常に過ぎ去っていく。しかし、赤いキャップ、『Beyond the Sea』の鼻歌、ドアに挟まれたハイライト・メンソール、夜のコンビニの前で交換する「永遠にずっとめちゃくちゃ幸せでいられる」カップラーメン、に象徴される記憶は色褪せることはない。ラスト、赤いキャップのゆくえが当人たちも知らない場所で幸せを永遠にする。

ものすごく好きなテーマの作品ではあったものの、個人的な好みとしてちょっとノイズに感じる部分もあった。味覚で、しかもおいしくないもので意気投合する感覚はわかるのだが、あんな風に店内でくさす人は好きじゃない。あといくら心の傷に触れる話だったとはいえ、タクシーの運転席を蹴りつづける人も。内実がどうあれ、友だちがよすがにしている指輪を勝手に捨ててしまう人も。

あとは、山本奈衣瑠さん(横顔が本当にうつくしい!)はすばらしかったのですが、やはり凪の人物像をはじめ全体的にサブカル圧と「おれの考えた最強のア(↑)コガレ」臭がつよすぎて、少し醒めてしまう感じは否めなかった。観客の思い出にもあたかも「あった」ように存在してしまう映画なだけに。オッパーラとOASISとハトヤと黒船ホテルを集結させるのは肩ぶん回しすぎてる気がした*2。


★★★★

*1:わたしにもめちゃくちゃ物を失くす友だちが何人かいるので、ちょっとうれしくなってしまった

*2:全体的にもっとひなびたロケ地、もしくは登場人物によって場所にコントラストをつけた方が作品に合うんじゃないかなと思った