レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで

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それは誰もが逃れられない<運命の愛>
あなたの最愛の人はあなたを愛していますかー
運命のふたりがたどり着く愛の終着点
郊外のこぎれいな新興住宅地に住む、美男美女カップル、レオナルド・ディカプリオ×ケイト・ウィンスレット。周囲にも「特別」と思われていた彼らは、実はぬるま湯につかったような安穏とした暮らしにうんざりしていた。

原題:REVOLUTIONARY ROAD
監督・製作:サム・メンデス
脚本:ジャスティン・ヘイス
原作:リチャード・イェーツ
音楽:トーマス・ニューマン


キャッチコピーのうそつきー!!!こわかった。ちょうこわかったよー!サム・メンデスはホラーの才能があるんじゃなかろうか。しかも自分のおくさんでこんな映画を撮るなんて!
エンドロールで、思わずふーっと息を吐いたのはわたしだけではありませんでした。ぱんぱんに張りつめた風船に徐々に空気を入れていくのを見守るような緊張感でした。

同じ理想を持った同志と思っていたのは、見込みちがいだった。その情熱が高ければ高いほど、失望は深い。幻想を追ってるうちがいちばんたのしいという光景をまざまざと見せつけられました。それは男女関係に限らず、人生のいろんな局面において。

とにかくケイト・ウィンスレットのハマりっぷりがすごかったです。情熱が自分という器をあふれていってしまう様子に説得力があった。郊外の美人感、不満・鬱憤のたまった主婦感、倦怠感のあるエロさ、THE・女なヒステリー感、男を追いつめる圧迫感、「ここにはないなにか」を求めるむこうみずっぷり、ーパーフェクトでした。ゆるま湯だいすき小市民のわたしは、もうキョドって逃げ出したくなるきもちでいっぱいでした。

その思いつめぶりには「ムチャクチャだ」と思ったり、背すじが凍ったりするシーンも。でもみんなから「特別」と思われて、輝いていたからこそ、自分の人生や肉体全てがどんどん行き場をなくしていくように思えることが許しがたいことだった、というきもちもわかる。なんだかとてもかなしいきもちになりました。駄目になった王国。
破滅はどうしても止められなかったと思うと、よけいにものがなしい。「昔はよかったなあ」じゃすまない切実なかんじって、女のひと特有の煮詰まり方な気もする。

サム・メンデス作品によりそってそっと持ち上げる、トーマス・ニューマンの音楽。品があって、不穏で、こころの奥がざわざわしました。


★★★