前代未聞の実話!
黒人刑事がKKKに潜入捜査
痛快リアル・クライム・エンターテインメント!
2018年カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ
第91回アカデミー脚色賞
原題:BLACKKKLANSMAN
監督・脚本・製作:スパイク・リー
脚本:チャーリー・ワクテル,デヴィッド・ラビノウィッツ,ケヴィン・ウィルモット
撮影監督:チェイス・アーヴィン
編集:バリー・アレクサンダー・ブラウン
美術:カート・ビーチ
衣装:マーシー・ロジャーズ
音楽:テレンス・ブランチャード
原作:ロン・ストールワース
アカデミー賞でのスパイク・リーのニュースを見て、「これは相当気合入ってるんだろうな…」と思っていましたが、予想を超えてすごかった!
御大印の、もはや映画としては危うい、猛烈なバランス。笑えるしハラハラするし、映画的な娯楽性は担保しつつも、「で、おまえはどうなんだ?」と、常に観客が自己批評に晒されるヒヤヒヤ感がそれを上回ってくる。政治信条によってはアレルギーを引き起こしかねない劇薬を投下してきました。
「BPPとの比較でKKKの愚かさを際立たせている」という評をいくつか目にしてびっくりしたのだけれど、むしろ、そうは描いていないところ*1がすごい、とわたしは感じた。
つまり、この映画を観る層であろうマイノリティ側やインテリリベラルにも内在する先入観や差別意識、硬直性を指摘しているところ。劣悪な環境に身を置いて、日々自分の周りから事態を変えようと戦っているロンは、怒りや声高なデモ以上に状況を前進させているように見える。「俺はノンポリ扱いか?」という叫びは、強烈に胸に刺さるものがある。
「ノンポリに見えるひと」の矜持のあり方は、『この世界の片隅に』や『ペンタゴン・ペーパーズ』を思い出したりもした。
ロン演じるジョン・デヴィッド・ワシントンの華も、信頼できる男アダム・ドライバーの安定感もすばらしかった!
なにより、終わりぎわに抱かされる石の重さをほんのひとときでも忘れさせてくれるような『Too Late to Turn Back Now』よ!あまりのうつくしさに思わず泣いてしまったよ。
★★★★