私の中のあなた

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もう姉のドナーにはならない。

原題:MY SISTER'S KEEPER
監督・脚本:ニック・カサヴェテス


最近ちょっとまじめにがんばっちゃったなー(あくまで自分比)ってことで、有休とって映画館ピクニック。朝っぱらから水筒に激熱ココアをしこんでゴー。

あのビジュアルイメージで死病もの。相当バイアスかけられておりました。「どーせ『あなたは私の中に永遠に生きつづける』的ないい話なんでしょ?」「そこにちょっと社会派エッセンス入ってんでしょ?」「いや泣くよ?泣くと思うけど、コレはそういうアレとはちがうんだからね!」というきもち半分、レコメン信じて鑑賞。結果、号泣メーン!!!

白血病の姉のドナーとなるべく生まれてきた、デザイナーベビーのアナ。11才の彼女がついに臓器提供を拒む決心をし、両親を訴える。このちょっと変化球なあらすじがどう着地するのかなぁと思っていたのですが、この訴訟はあくまでフックにすぎず、全編にわたって家族と死にまつわる真摯な思いが込められていました。ニック・カサヴェテス監督自身が心臓病の娘を持つことを知り、納得。

この家族のひとりひとりの視点と思いをていねいにつみかさねているのがすごくよくて、「あぁ、このひとの立場と性格だったらこう思うよなぁ」といちいち感じ入ってしまいました。たとえ同じ家族であっても、愛するひとの死に面してその背景や文脈はそれぞれちがう。そのパーソナルで神聖な部分が大事にされていると思いました。死に対する敬意がうかがえて、よかった。

この家族がまたすごくいい家族で、みんなそれぞれちがってやさしいので、泣ける。うつくしすぎる部分ももちろんあるけど、常に死を意識して生活してきたひとにたしかに存在するつよさというか、達観みたいなものがきちんと表現されているので、きれいごとすぎないかんじ。みんな笑顔がいい役者なんだよね〜。あと死病×海岸の組み合わせ、鉄板。

マスカラ全落ちで、女子トイレに行くと、やはり同じような状態のおばさまがたが「あ〜、(マスカラ)なんにもついてない」と鏡をのぞきこんでいて、ちょっと笑った。



★★★★