SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者

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終われない。この魂(ライム)は、不滅。
SRシリーズ3作目。1でイック・トムと袂を分かち、東京へ出たマイティのその後の転落を描く。

監督・脚本・編集:入江悠
撮影:三村和弘
音楽:岩崎太整
ラップ指導:上鈴木伯周 / タカヒロ


友だちに「1・2とは全然ちがうよ!」と散々脅されて、ものすごくサグいのを覚悟してたから、いい意味で軽くてよかった・・・。基本は1の雰囲気を継承しつつ、『キッズ・リターン』『ヒーローショー』『サウダーヂ』や昨今の韓国映画『息もできない』『哀しき獣』)などのスパイスがふりかかった作品という印象を受けました。
シリーズ最高傑作と言っていいでしょう!

ぐっときたところは1の構造とほぼいっしょで、イックとトムがfeat. 征夷大将軍で反体制ラップかますところ(1で言うと役所でかますところ)、とフェスと留置所でマイティをHIPHOPに呼び戻すところ(1で言うとラスト)。実は追加されたスパイスの部分じゃないんだよね。もちろんそのスパイスあっての盛り上がりなんだけど。

今回の「郊外の閉塞感」や「暴力の連鎖」のエッセンスは、本来の入江監督の資質ではないように思えて、どうもとってつけた感・上滑りしてる感が否めなくて(だから軽くていいんだけど)、ちょっと作品に入りこむのを邪魔しているような気がしました。マイティのたどる道筋があらすじのための道筋、というかどうも納得できるものではないんだよね。(例えばマイティがバトル上位常連のスキルなら、あんな状況に陥っていることがまずおかしい、とか。)
あとエンタメに着地させるためとはいえ、マイティのパートが駆け足すぎて、余韻や重みを感じるひまがなかった。あんまり重いとマイティのパート観るのがいやになってしまうだろうけど、そこは強弱が必要かな、と思いました。

とはいえ、ライブシーンの撮影が格段に進化していたり、3作中で一番HIPHOPのたのしさがきちんと描かれていたところはすばらしかったです。
今回初登場の征夷大将軍(とくにDJねむりねこ)は最高で、もっと観ていたいって思わされました。

一番右。


★★★★